2020年2月16日(日)
新型肺炎 クルーズ船
現場とかけ離れた政府対応
要望が一定前進 健康相談窓口を
新型コロナウイルスの集団感染によって隔離が長引くクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」。乗客有志が9日に医療などの支援体制の整備を求め厚生労働省に要請書を提出したことによって、医療チームの派遣をはじめ政府が船内環境の改善に動かざるを得ない状況をつくり出しました。一方、政府の対応が現場のニーズからあまりにかけ離れているとの声も上がっています。(岡素晴)
14日午前、船内アナウンスで橋本岳厚労副大臣の乗客に向けたあいさつが流れました。冒頭、橋本副大臣は「一部の乗客の方々から船内環境の改善に関する要望書をいただきました」とふれた上で、要望を受け止め政府として努力していくと語りました。
要請したのは「ダイヤモンド・プリンセス船内隔離生活者支援緊急ネットワーク」(千田忠代表)。隔離の長期化に伴い、乗客の健康悪化が進む中で、病気になった人の放置や要望のたらい回しが起きているとして、医療専門家の派遣や「ニーズ対応の窓口設置」などを求めていました。
要請直後の10日、同省の災害派遣医療チーム(DMAT)などから医師、看護師、薬剤師が数十人態勢で船に入りました。心のケア対応の災害派遣精神医療チーム(DPAT)の派遣も始まっています。1週間以上交換されなかったベッドのシーツの換えが届くようになりました。
ニーズが少しずつ実現されてきたと千田さん。「しかし、必要な情報開示もなされず、日ごとに健康が悪化する中、電話1本で健康相談できる窓口がいまだに設置されず、最大の要求が放置されている」と語ります。
千田さんによると14日、乗客にiPhone(アイフォーン)が配布されました。無料対話アプリ「LINE(ライン)」を使って持病の薬を要望したり、医師への相談を予約したりするためといいます。「相談は16日から始まるそうです。当初の船内隔離の予定(19日)まで残り少ないのに、こんなものを配って意味があるのかという声が出ている」
同ネットワークは14日、船に派遣された医療チームに要請書を提出。すぐ電話連絡できる健康相談窓口の開設をはじめ、乗客の疾病・感染リスクの高まりへの対応強化など4項目を求めています。