2020年1月30日(木)
核禁止条約支持へ議論
米NY市議会 決議案の公聴会
60人超が証言
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【ニューヨーク=池田晋】米ニューヨーク市議会(定数51)は28日、同市を非核地帯と再確認し、核兵器禁止条約への支持・加盟を米政府に求めることを盛り込んだ決議案をめぐって、初の公聴会を開きました。同市の人口は全米最大の約839万人。決議案を主導するダニエル・ドラム議員(民主党)は、市長の拒否権行使を阻める3分の2以上の賛成票を確保したとし、決議案採択に強い意欲を示しました。
同市の案は、カリフォルニア州やロサンゼルス市の議会ですでに採択されている決議と同様に禁止条約への支持を表明するだけでなく、市の会計監査当局に公務員年金基金からの核兵器関連産業への出資撤退を指示する踏み込んだ内容。別の法案では、非核地帯としての市の役割を包括的に見直す「核軍縮・非核地帯諮問委員会」を新たに立ち上げます。
同市は1983年の決議で、非核地帯をすでに宣言していますが、象徴的な意味合いが強いものでした。
公聴会では、これらの決議案と法案に対して詰めかけた市民や活動家、専門家ら計63人が賛成の立場から証言し、議会の動きを後押ししました。
婦人国際平和自由連盟(WILPF)のレイ・アチソンさんは、専門的知見がないなどと市当局が消極的な姿勢を示していることをあげ、「連邦政府がわれわれの安全のために行動しない今、あらゆる自治体レベルでできることをする必要がある」と強調しました。
国際政策センター(CIP)のウィリアム・ハータングさんは、決議の採択で世界に指針を示すことができるとし、「国中、世界中への波及効果は、巨大な変化を生み出すことになる」と背中を押しました。
ニューヨーク在住で両親が長崎で被爆した田口京(みやこ)さんは、広島の原爆の破壊範囲はニューヨーク市と同規模だったと想像してほしいと呼びかけ。「マンハッタン計画が始まった地の住民として、この兵器を終わらせるために行動すべきだ」と訴えました。