2020年1月24日(金)
主張
2020国民春闘
賃上げ・減税で経済立て直そう
2020年国民春闘は、安倍晋三内閣の暴走政治が行き詰まりを示し、それと対峙(たいじ)する市民と野党の共闘が前進・深化を遂げる中で取り組まれます。政府・財界一体で労働者に押しつけてきた賃下げ、労働強化、働くルールの破壊などを、国民の世論と運動を力にして、はね返す絶好のチャンスです。
暮らし破壊とのたたかい
主要諸国で日本だけ、実質賃金が下がり続けてきました。1997年を100とすると、2018年は90・1です。安倍政権が強行した「働き方改革」は、「生産性向上」を労働政策の目的とする異常なもので、労働密度の増大と持ち帰り残業を労働者に強要しています。そればかりか、労働法制の保護を外した労働者を大量につくりだそうとさえしています。
消費税10%への増税は、国民の暮らしと中小業者の経営に深刻なダメージを与え、各種経済指標は軒並み悪化しています。
全労連・国民春闘共闘委員会が掲げる消費税の5%への減税、年金・医療・社会保障の拡充、2万5千円の大幅賃上げ、最低賃金の全国一律制と時給1500円への引き上げ、長時間労働の解消などで「8時間働けばふつうに暮らせる社会」を築くことは、個人消費を活発にして日本経済を立て直す上でも喫緊の国民的課題です。
昨年の参院選での市民と野党の13項目の「政策合意」には、「最低賃金1500円、8時間働けば暮らせるルール、生活を底上げする経済、社会保障政策の確立、貧困と格差の解消」が打ち出されました。最賃の低さと地域間格差の拡大は、労働力流出など、地域経済の疲弊に輪をかけています。このため、自民党内に「最低賃金一元化推進議員連盟」が結成され、全労連の黒澤幸一事務局次長からもヒアリングをするというかつてないことが起きています。
アメリカの主要企業で構成する「ビジネス・ラウンドテーブル」は昨年、約四半世紀にわたって掲げてきた「株主第一主義」の旗を降ろし、従業員や取引先、地域社会にも配慮した経営に取り組むことを宣言しました。世界の流れも変わり始めています。
日本の財界は相変わらず「株主第一主義」に固執し、「内部留保は企業の成長に不可欠で取り崩せない」との立場を変えません。一方、内部留保が7年連続で過去最大を更新し、463兆1308億円という天文学的数字に達する中で、経団連の中西宏明会長も「増えるのは内部留保ばかりで設備投資は滞ったまま。これは、経済学の教科書では想定していなかった事態」(『文芸春秋』2月号)と口にするなど、矛盾を深めています。内部留保のほんの一部を取り崩し賃上げと時短に回せという要求は、道理も国民的大義もあります。
国民春闘共闘が掲げる「安倍9条改憲阻止・戦争する国づくり反対、民主主義を守れ、原発ゼロ」など平和と民主主義の課題でも、国民の共感が広がっています。
職場を変え、政治を変え
市民と野党の共闘をナショナルセンターの違いを超えた労働組合の共同が支え、労働組合の要求闘争を市民と野党の共闘が励ましています。要求の大義を掲げ、職場で、地域で、働き方と生き方、日本経済と産業・企業のあり方、政治変革への希望を語り合い、たたかって未来を切り開く時です。