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2020年1月20日(月)

主張

巨大IT企業

プラットフォーマー規制急げ

 コンピューターの計算能力の飛躍的向上や人工知能(AI)の発達で、経済のデジタル化が急速に進んでいます。情報通信技術やデータをオンラインで活用して第三者に多種多様なサービスの「場」(プラットフォーム)を提供する事業者をデジタル・プラットフォーマーと呼びます。これまでにないビジネスを生み出し、ネット上の検索サービスやSNSの交流サイトなどで国民生活に浸透し、強い影響力を持つようになったデジタル・プラットフォーマーへの早急な対応が必要です。

急成長するGAFA

 米国のデジタル・プラットフォーマー4社(グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン=GAFA)は規模を拡大し続け、2018年の株式の時価総額の世界ランキングでは、中国の企業2社とともに上位10社の中に入っています。個人情報収集や税逃れをテコにした急成長に課税や規制が対応できていません。ほかにも労働者の使い捨てや犯罪など深刻な社会問題を引き起こし、世界各国は規制に乗り出しています。

 日本政府は18年6月に閣議決定した「未来投資戦略2018」で、プラットフォーマー型ビジネスの台頭に対応したルール整備に向けて具体的措置を早急に進めるとしました。公正取引委員会は19年10月、オンラインモール・アプリストアにおける事業者間取引の実態を示した報告書を公表しました。14年に12兆7970億円だった消費者向け電子商取引の市場規模が、18年に17兆9845億円に拡大する中、独占・寡占化による弊害が浮き彫りになっています。

 日本のデジタル・プラットフォーマーである楽天は、オンライン通販サービスの楽天市場で、出店業者に対する優越的な地位を乱用し、送料「無料化」をうたった負担の押し付けなど規約変更を繰り返し、出店業者の怒りが噴出しています。19年4月に公表した公取委の実態調査報告では「規約を一方的に変更された」と回答した出店業者は楽天では93・2%にのぼりました。出店業者はユニオンを結成して負担押し付けに反対しています。楽天は、出店業者に負担を強いることをやめるべきです。

 一方、欧州連合(EU)では、市場支配的地位を乱用し、競合する他社が第三者のウェブサイトに検索連動型広告を掲載することを妨げたとして、グーグルに対し19年3月に約1886億円(14・9億ユーロ)の制裁金支払いを命令しました。EU競争法は、市場支配的地位にある企業に対して強力な市場支配力を乱用しないという特別な責任を負わせています。

“善意”まかせにせず

 安倍晋三政権は、グローバルなデジタル市場での競争やイノベーションを促進するとして、今度の通常国会に「デジタル・プラットフォーマー取引透明化法案(仮称)」を提出するとしています。内閣府に設けられた「デジタル市場競争本部」は19年12月、透明性・公正性向上のための情報開示と手続き・体制整備や、行政庁への定期報告など法案の方向性を示しました。無規制を背景に急成長したデジタル・プラットフォーマーの“善意”に委ねることになるとの懸念が指摘されています。「支配的な地位」を持つ企業に社会的責任を果たさせるよう、公正・公平なルール整備が必要です。


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