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2020年1月18日(土)

主張

現行日米安保60年

「地球規模の同盟」の危険鮮明

 1960年1月19日に当時の岸信介首相とハーター米国務長官らが現行の日米安保条約に署名してから、あすで60年です。51年9月8日署名の旧安保条約の改定として締結された現行条約は、それまでの基地提供条約という性格に加え、有事の際の日米共同作戦条項などを新たな柱として盛り込みました。同条約に基づく日米安保体制は今や大きな変貌を遂げ、集団的自衛権の行使を可能にした安保法制=戦争法により、米国が地球規模で起こす戦争に日本が参加し、自衛隊が海外で武力行使する危険をかつてなく高めています。

「日本防衛主眼でない」

 現行安保条約第6条は「極東における国際の平和及び安全の維持に寄与するため」に米軍が「(日本の)施設及び区域を使用することを許される」と定めています。

 日本政府は、「極東」の範囲について「大体においてフィリピン以北並びに日本及びその周辺の地域」と説明してきました。しかし、条約とともに結ばれた日米密約によって、米軍は日本への核兵器持ち込みとともに、日本の基地からの戦闘作戦行動も日本側との事前協議なしに、「極東」の範囲に縛られず、世界のどこにでも出撃できることを可能にしました。

 実際、在日米軍基地は、米国によるベトナムやアフガニスタン、イラクへの侵略戦争などで出撃拠点になってきました。日本に配備されている米軍も、「空母打撃群」や「海兵遠征軍」など干渉・介入専門の“殴り込み”部隊です。

 現行安保条約とともに締結された日米地位協定の下、米軍機の騒音や墜落事故、米兵犯罪、環境汚染など基地被害も深刻です。

 外務次官や駐米大使を務めた村田良平氏は、現行安保条約と「地位協定とを併せ読めば、この条約もその本質において、米国が日本国の一定の土地と施設を占領時代同様無期限に貸與(たいよ)され、自由に使用できることを骨格としている」「米国の日本防衛義務は、条約の主眼ではない」と述べています(『村田良平回想録(下巻)』)。

 加えて、現行安保条約は第5条で日米両国が「日本国の施政の下にある領域における、いずれか一方に対する武力攻撃」に対し「共通の危険に対処するように行動する」と規定しています。有事の際の自衛隊と米軍の日米共同作戦の根拠とされます。しかし、今日の日米軍事協力の実態は、第5条の規定をはるかに超えています。

 安倍晋三政権は2015年に新たな「日米軍事協力の指針(ガイドライン)」を策定し、安保法制=戦争法の成立を強行しました。当時のカーター米国防長官は「新ガイドラインは日米同盟を一変させる」「アジア太平洋、世界中でわれわれが直面するあらゆる挑戦に柔軟に対応できるようになる」と指摘しました。文字通り、地球規模の日米軍事同盟への変質です。

対等・平等の日米関係を

 安倍首相は、異常な軍拡に乗り出し、自衛隊を海外で戦闘できる軍隊に変え、憲法9条改定に執念を燃やすなど、「戦争する国」づくりを進めようとしています。

 米軍基地強化や「戦争する国」づくりの根本にある安保条約を廃棄し、独立・平和・中立の日本をつくり、米国とは対等・平等の立場に基づく友好条約を結ぶことにこそ日本の未来がある。それを今、大いに訴える必要があります。


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