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2020年1月16日(木)

急性期病床削減狙う

厚労省案 重症度要件厳格に

 厚生労働省は15日、看護体制が手厚い急性期病床について、保険医療の公定価格である診療報酬の算定要件を厳格化する具体案を中央社会保険医療協議会に示しました。2020年度診療報酬改定の一つで、算定要件が満たせなくなることで医療機関が病床削減や看護体制を後退せざるをえなくする狙いです。この算定要件は、急性期病床に入院するがんや救急患者など“重症者数”の割合を定めたもの。前回の2018年度改定では、この重症者割合を引き上げ、看護体制がより少ない病床へと転換を促す形に報酬体系を再編し、急性期病床の削減などを加速させました。

 厚労省はこの日、20年度改定でさっそく、“重症者”に該当する患者指標の厳格化を提起。急性期一般入院基本料のうち、看護体制が「患者7人に看護職員1人」で最も手厚い「入院料1」(従来方法で重症者を判定)の算定施設の場合、約4分の1が要件を満たさなくなるなどの試算結果を示しました。

 これに対し、日本医師会の委員は、急性期病床が約1万床減った前回改定後の拙速な見直しに懸念を示す一方、健康保険組合連合会の委員は人口減少を口実に、この入院料1の重症者割合を現行の「30%以上」から「35%以上」に引き上げるよう迫りました。

 医療側は猛反発。現行で7割の算定施設が35%以上に届かないため、「相当な医療機関に『なくなれ』と言っているに等しい」(日本医師会)、「日本の急性期医療が崩壊する」(全日本病院協会)と反対しました。


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