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2020年1月14日(火)

主張

東京五輪2020

何を発信するのかが問われる

 東京五輪・パラリンピックの年が始まりました。1964年から半世紀余を経て2度目となる大会では、世界の選手や人々を迎え、何を発信し、どんな“舞台”をつくるのかが問われています。

猛暑への備え万全に

 スポーツには競技を通じ、人々をつなぐ“特別な力”があります。昨年行われたラグビーのワールドカップ(W杯)日本大会では、力を尽くした選手が、チームの垣根を越え、笑顔でたたえ合う姿が印象的でした。たたかいを通じ、互いに敬意を深め、理解し合い、友情を育む―。観客も含め、国や言語、人種や宗教を超えた一体感がそこにはありました。

 東京五輪・パラリンピックでこうした光景を生みだすには、選手が持てる力を最大限に発揮できる舞台の整備、観客が心地よく観戦できる環境づくりが不可欠です。

 その点で最も懸念されているのが東京の猛暑の問題です。

 背景には、東京の夏の暑さを世界に偽って招致した問題、国際オリンピック委員会(IOC)の商業主義的な思惑があります。

 昨秋、マラソンと競歩の会場が札幌市に変更されました。選手の安全を第一に考え、十分な力の発揮を求める上で必要な措置でした。この2競技だけでなく、他の屋外競技についても踏み込んだ検討が必要です。大会ボランティア、観戦者の健康と安全確保も含めて、最後の最後まで万全の対策を尽くすことが東京都や組織委員会に課せられた最低限の責務です。

 大会経費の膨張の問題もあります。組織委員会は大会経費を1兆3500億円としています。しかし、都はさらに大会関連事業に8100億円を計上し、国は約1兆600億円を大会関連事業として支出しています。これらを合わせると3兆円を超えます。しかも組織委員会や東京都は支出の詳細を示す資料を公表していません。大会経費の削減と透明化は、国民にたいする責任です。

 五輪後、レガシー(財産)となるはずの競技施設にも懸念があります。こけら落としが行われた国立競技場は年間の維持管理費が数十億円といわれながら、五輪後の運営も定まっていません。将来にツケを残さない早急な検討が求められます。国民に歓迎される大会にすることは、五輪の理念を継承していく上でも重要です。

 いま世界に暗雲が垂れ込めています。米国の無法な軍事力行使によって、米国とイランの間に、戦争につながりかねない緊張した事態が続いています。

 昨年12月、国連総会で東京五輪・パラリンピック組織委員会が提出した「オリンピック休戦決議」にたいし、186カ国が共同提案国となり採択されました。

 古代オリンピックで五輪の期間中とその前後の時期に、戦争を中断した「エケケイリア」に倣ったものです。聖なる停戦ともいわれるこれは、ギリシャ語で「手をつなぐ」という意があります。

平和のために手をつなぎ

 いまスポーツ、五輪などにかかわるすべての人が、この状況に声を上げ、「手をつなぐ」ことが求められています。

 さらに、日本政府は東京五輪・パラリンピックを開催する国の責務として、事態の平和的な収束のために最大限の力を尽くすべきです。


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