2020年1月9日(木)
相模原殺傷 罪状認める
植松被告 責任能力の有無争点
横浜地裁初公判
相模原市緑区の知的障害者施設「津久井やまゆり園」で、2016年7月に入所者ら45人を刃物で殺傷したとして殺人罪などに問われた植松聖被告(29)の裁判員裁判の初公判が8日、横浜地裁(青沼潔裁判長)でありました。被告は罪状について問われ、「(間違い)ありません」と認めました。
被告の責任能力の有無と程度が主要な争点。検察側が被告には完全な責任能力があると主張。弁護側は心神喪失だったとして無罪、または心神耗弱状態だったとして刑の減軽を求めました。
植松被告は、弁護人が意見を述べた後、発言を求め、「皆さまに深くおわびいたします」と述べました。その直後、地裁によると右手の小指をかみ切るような動作をし、刑務官が制止。暴れだしたため、裁判長が一時休廷を宣言しました。
被告不在のまま再開された午後の審理で、検察側は冒頭陳述を行い、被告がやまゆり園での勤務経験や見聞きした社会情勢から「特異な考え方」を持つようになったと指摘。「意思疎通できない障害者は不幸を生み出す」として、最終的に「殺す」という考えに至ったと説明しました。
責任能力の有無を判断する要素として▽犯行が計画的だった▽逃走後に警察に出頭しており、違法性を認識していた―などを列挙。「正常な精神作用で説明でき、病的な妄想などに支配されていない」と主張しました。
大麻使用の影響やパーソナリティー障害についても、「病的な妄想を生じさせない」と述べました。
弁護側は、被告が事件当時、大麻使用や精神障害の影響で行為の善悪を判断する能力などを失っており、刑事責任を問うことができないと主張。全く失っていない場合でも、著しく弱っていたとしました。