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2019年12月30日(月)

主張

差別撤廃条約40年

今こそジェンダー平等実現へ

 国連で1979年に採択された女性差別撤廃条約は20世紀末から21世紀にかけて実現した人権保障の国際条約のひとつです。女性に対するあらゆる差別の撤廃を政府に義務づけた画期的な条約の採択から40年を迎え、世界の女性の地位とジェンダー平等は大きな変化と前進をとげてきました。

世界に取り残される日本

 40年間に、条約の解釈も豊かに深められ、改善のための積極的是正措置、女性への暴力撤廃の重視、性と健康に関する自己決定権など、時代のなかで「生きた文書」として役割を発揮しています。

 それぞれの国が条約の立場で差別是正のための法整備を始め、カナダでは男女平等賃金や女性の貧困撲滅のため国会に女性の地位委員会を発足させたり、スウェーデンでは全ての政府機関の運営、法案、統計等をジェンダー平等の視点で分析、実施したりするなど総合的な対策を進めてきました。

 日本は85年に条約を批准し来年で35年になりますが、いまや日本は世界の流れから取り残されている国となっています。世界経済フォーラムが17日発表した、経済、教育、健康、政治の4分野のジェンダーギャップ指数では、日本は153カ国中121位と過去最低を更新しました。経済分野の115位は、役職者の女性割合9・9%、上場企業の女性役員4・1%、女性の56%が非正規雇用、賃金格差などの雇用における差別が反映したものです。政治分野では144位でワースト10でした。女性国会議員比率衆院9・9%、参院22・9%(12月現在)、女性閣僚1人(調査時)などが指摘されています。

 発達した資本主義国のなかでも日本がジェンダー平等で異常な遅れにある要因の一つは、財界の「利潤第一主義」にあります。女性を安上がりの労働力として低賃金で働かせ、「家族的責任」を要求するとともに、男性には長時間労働や単身赴任を押し付ける―。このジェンダーによる差別が、労働者を支配し、女性の力の発揮を妨げています。もう一つの要因は、戦前の教育勅語や封建的な家制度にもとづく男尊女卑の思想と、そのような価値観をもつ勢力が安倍晋三政権や自民党の中枢を占め、ジェンダー平等社会実現の最大の妨害者となっていることです。

 女性差別撤廃委員会が繰り返し求めている、差別禁止の法整備や法律に残る差別規定撤廃など、条約の実施に不可欠な措置さえ拒み続ける安倍自公政権を転換することは、ジェンダー平等実現に大きく道を開くものです。今こそ女性差別撤廃条約と世界の到達に学び、女性も男性も平等に力をつけ、自ら発揮できる社会をめざしていきましょう。

連帯を広げる女性たち

 性暴力をはじめ人格や尊厳を踏みにじられてきた女性が勇気をもって声をあげ、支援と連帯の行動が世論を動かしています。フラワーデモ、「#MeToo(ミー・トゥー)」や「#KuToo(クー・トゥー)」の運動や、労働条件の改善、職場の差別ノー、選択的夫婦別姓への民法改正、選択議定書批准などを求め、個人の尊厳と自由を求める行動も広がりました。日本共産党は、これらの行動と心ひとつに、党自身の努力と合わせ、ジェンダー平等実現に本気で取り組む政治をつくるために一層力を尽くします。


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