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2019年12月25日(水)

主張

消費税増税3カ月

国民を応援する5%減税こそ

 24日は消費税導入法の成立から31年目でした。安倍晋三政権が強行した消費税率の10%への引き上げからも間もなく3カ月です。この間発表された経済指標はことごとく消費が一段と落ち込んだことを示し、日本経済が不況の色を濃くしていることを浮き彫りにしています。消費税増税の深刻な影響はもはや隠せません。国民の暮らしを応援し、日本経済を立て直すために、消費税率を緊急に5%に戻すことが求められます。

一連の経済指標が悪化

 政府の公式の景気判断である12月の月例経済報告(20日発表)は、「景気は、輸出が引き続き弱含むなかで、製造業を中心に弱さが一段と増している」と述べ、下方修正しました。米中貿易紛争で輸出の伸び悩みが続いているのに加え、「消費税率引上げ後の消費者マインドの動向に留意する必要がある」と指摘しています。

 総務省が同じ日に発表した全国消費者物価指数は前年同月比で10月の0・2%上昇に続き11月も0・5%上昇しました。増税の影響が国民に重くのしかかっているのは明らかです。一方で、厚生労働省発表の10月の実質賃金は0・4%の低下となりました。

 10月の経済指標では、総務省の家計調査で消費支出が前年同月に比べ5・1%も減少したのをはじめ、内閣府発表の同月の景気動向指数も前月より5・1ポイント低下しています。日本銀行の12月の全国企業短期経済観測調査(短観)では、企業の景況感を示す業況判断指数(DI)が、大企業も中堅企業も中小企業も悪化しました。

 もともと低所得者ほど負担が重い、逆進的な税制である消費税の増税は、国民の負担を増やし、消費を冷やします。売り上げの落ち込みは中小商店を中心に大きな打撃になります。

 安倍政権は、10%への増税と合わせて、複数税率の導入やキャッシュレス決済のポイント還元などを実施しました。しかし、その仕組みは複雑で、中小商店やコンビニの店主に手間と経費の負担を強いました。しかもこの対策が消費の拡大にも経済の活性化にも結び付かなかったことを、一連の経済指標の悪化は示しています。

 安倍政権は景気を下支えするなどと称して新しい「経済対策」を発表し、2019年度補正と20年度当初の大規模な予算案を編成しました。その実態は、大軍拡と大企業向けの優遇策の拡大が中心です。消費税増税対策として打ち出したのは、経済効果が疑問視されているポイント還元事業推進などの予算を増やしただけです。

 日本経済を再生させるには、国内総生産(GDP)の約6割を占める個人消費が活発になることが不可欠です。そのためには消費税の減税で国民の負担を減らし、最低賃金の引き上げや社会保障の拡充で暮らしを応援することです。

大企業と富裕層の負担で

 消費税を5%まで引き下げる財源は、大もうけして利益をため込んでいる大企業や大資産家に応分の負担を求め、兵器の“爆買い”など無駄な経費の削減で十分確保できます。重要なのは、そのための政治を実現することです。

 国民の暮らしや中小業者の経営は顧みようともしない安倍政権を、国民と野党の力で退陣に追い込み、新しい政治を切り開くことが必要です。


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