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2019年12月15日(日)

主張

教員の変形労働制

選択させず働き方を変えよう

 「過労死が増える」「教員を続けられなくなる」という反対の声を押し切り、安倍晋三政権は公立学校の教員を「1年単位の変形労働時間制」で働かせることを可能にする法律(改定給特法)を先の臨時国会で強行しました。

 国は2021年度から制度を運用する予定です。ただし都道府県の条例制定から個々の学校への導入まで、完全に選択制です。全国の自治体と学校で制度を選択させない運動を広げることが重要です。

制度導入の前提もない

 変形労働時間制は1日8時間労働の原則を破り、勤務時間を延長する制度です。これで教員の働き方が良くなるはずがありません。

 制度に反対する運動は労働組合の枠を超えて広がり、働き方を考え、変える新たな力が培われてきました。地方議会でも問題になり、導入の当事者となる教育委員会に慎重な態度も生まれています。

 しかも国会での審議を通じ、現在の学校には導入の前提がないことが浮き彫りになっています。

 文部科学省はこの制度が「恒常的な時間外労働がないことを前提にした制度」であることを認めました。しかし、学校での恒常的な時間外労働は周知の事実です。

 また、制度適用の教員は残業月45時間という国のガイドラインの順守が必要で、守れなければ途中で適用をやめるとも述べました。しかし、大多数の教員がガイドラインを上回っています。さらに勤務時間の延長日は時間外勤務ができない、導入で年休取得が減ってはならないと答弁しました。守れないものばかりです。

 管理職や事務職員の負担増も深刻です。制度の導入には毎年度、教員全員の意見と状況を聞き、制度の対象者を決め、一人ひとりの月ごとの勤務のシフト表を作らなければならないからです。

 変形労働時間制の唯一の目的は、夏の休みのまとめ取りです。日本共産党は、休みのまとめ取りは大賛成です。しかし、その実現はこの制度を使わず、夏季の行政研修などの大幅削減と代休・年休の取得で十分可能です。共産党の提案に、萩生田光一文科相は「重要な方法」と答弁しました。この方法で夏の休みを実現させましょう。

 教職員の働き方を改善する取り組みはますます重要です。例えば、夜遅くまで働いても夕方退勤したことにするなどの虚偽報告が広がっています。文科相も「タイムカードを押した後に引き続き職場に残って働いている方がいる実態も承知している」と言わざるをえませんでした。労働時間の虚偽報告は、働き方の改善を台無しにする違法行為です。全国から一掃することが求められます。

業務削減・定数増を

 仕事が残っているのに「早く帰れ」と圧力をかける「時短ハラスメント」も問題です。多すぎる業務を放置したまま「早く帰れ」では、道理がありません。過大な授業時間数や行政研修、子どもの発達にとって意味が薄いか不要な業務を、教職員の手で、あるいは市民の力でなくすことは、20年度に向けたこの冬の喫緊の課題です。

 そして問題解決に必須の教職員定数の抜本増、残業代ゼロの法制度をなくす世論を広げましょう。

 教職員の働き方は、子どもの教育に直結する国民的な課題です。そのことを語り合い、教育を良くするため力を合わせましょう。


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