2019年12月14日(土)
主張
日銀短観連続悪化
消費税増税ショックは明白だ
日本銀行が発表した12月の全国企業短期経済観測調査(短観)で、企業の景況感を示す業況判断指数(DI)が、大企業製造業でゼロとなり、前回9月調査から5ポイント低下しました。DIゼロは第2次安倍晋三政権発足直後の2013年3月以来6年9カ月ぶりの低水準です。中堅企業や中小企業も低下しました。世界経済の悪化とともに、10月から安倍政権が強行した消費税率の10%への引き上げが景気を冷やしていることを浮き彫りにしています。消費税の税率を緊急に5%に戻し、国民の暮らし応援の対策を強めて日本経済を立て直すことが急務です。
新たな消費不況の色濃く
日銀の短観は、調査対象企業が約1万社と多く、調査時点から短い期間で発表されることから、注目されている経済指標です。業況判断指数(DI)は、「良い」と答えた企業から「悪い」と答えた企業を差し引いて算出します。
消費税増税後の10月の経済指標では、総務省の家計調査で、消費支出が前年同月に比べ5・1%も減少、下げ幅は前回の消費税増税時(14年4月)以上です。内閣府の景気動向指数も前月より5・6ポイント低下し、東日本大震災があった11年3月やリーマン・ショック後の09年1月に次ぐ下げ幅でした。
こうした指標に加えて、日銀短観のDIが大幅な落ち込みを示したのは、日本経済が急速に悪化していることを示しています。文字通り、新たな「消費不況」へ突入したのは明らかです。
大企業製造業のDIは、9月のプラス5ポイントが12月はゼロに、中堅企業製造業のDIは9月のプラス2ポイントが12月は1ポイントに、中小企業製造業のDIは9月のマイナス4ポイントが12月はマイナス9ポイントにそれぞれ下落しています。大企業や中小企業製造業のDI悪化は、4四半期連続です。非製造業では、大企業も中堅企業も中小企業も低下しました。
大企業製造業では、自動車が世界経済の悪化や台風による操業停止、増税後の販売低迷などにより落ち込みが大きいとされます。非製造業では消費税増税の影響を直接受けている小売りが、大企業、中堅企業、中小企業のすべてで下がっています。3カ月後の見通しを聞いたDIでも、大企業製造業が横ばいとなっているほかは、製造業も非製造業も企業の規模にかかわらず悪化を見込んでいます。
増税による景気の悪化がいよいよ鮮明になっても、安倍政権には経済政策を抜本的に転換する姿勢がありません。現在具体化を進めている「経済対策」も、もっぱら大企業中心の従来型です。
5%への引き下げ急務
日本経済の約6割を占めるのは個人消費です。消費が活発になってこそ初めて、企業の売り上げや生産・投資も活発になります。消費を活発にするには、働く人の賃金を引き上げるとともに、消費税を減税し、家計の購買力を引き上げることが不可欠です。安倍政権になってから消費税率が4年半で2回も引き上げられ、社会保障の改悪なども相次いで、国民を苦しめていることこそ、現在の日本経済低迷の元凶です。
消費税率の5%への引き下げや最低賃金の引き上げ、社会保障の充実をはじめ、暮らしを応援する政治の実現を求める世論と運動を強めようではありませんか。