2019年12月12日(木)
冬到来 尽きぬ不安
「早く元の生活に」 長野
台風19号2カ月
台風19号の上陸(10月12日)により千曲川の堤防が決壊し、長野県内に甚大な被害を及ぼしてから2カ月が経過しました。寒い冬が到来し、被災住民からは「早く元の生活に戻りたい」との切実な声が上がっています。(山本健二)
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千曲川支流の浅川にほど近い長野市の赤沼地区は、氾濫した水流により壁や塀が壊れた住宅が多く、被害が色濃く残っています。
同地区で8日、被災者への支援物資を提供する「青空市」が行われました。日本共産党長沼災害支援センターが呼びかけてボランティアを募り、開いたものです。
会場のテントで配布したのは冬物の衣類や鍋、コンロにこたつ器具など。地元農家が届けてきた段ボール10箱分の白菜や大根、ジャガイモなどの野菜類も並びました。寒空の下、開始時刻を30分早めるほど多くの市民が詰めかけて支援物資を手に取りました。
テント前では、共産党の野々村博美市議が「欲しいものはないですか」とメモを手に住民と対話。ホットプレートやゴム手袋など生活雑貨が欲しいとの要望を聞きました。
冬物の上着などを入手した男性(70)は「台所は復旧作業の最中。今はカセットコンロで調理している。IH対応の鍋とか欲しいね」と話していました。「トイレが2階にあるから」と自宅での生活を続けています。
被災住宅で生活
約250カ所あった長野県内の避難所は、長野市内の4カ所まで縮小(6日現在)され、仮設住宅に入居できなかった人たちが自宅や知人宅での生活を余儀なくされています。
長野市穂保(ほやす)区の男性(66)は自宅が1・8メートルの床上浸水で全壊。同市内の妻の実家に住んでいます。
穂保区第3常会長を務める男性は、被災した自宅に住み続ける家族が周囲に少なくないと言います。「仮設住宅よりも自宅に戻りたい人たちが戻ってきているが、その多くは高齢者。足腰への負担など、2階に住み続けるのはつらいと思う」と、弁当配布などで巡回するボランティアを求めています。
支援拡充を訴え
日本共産党は長野市穂保区で11月30日に懇談会を開催。被災住民ら20人以上が参加し、藤野保史衆院議員や武田良介参院議員に被災者への支援拡充を訴えました。
県議会では、山口典久県議が仮設住宅の入居期限について画一的な期限の設定を見直すようただし、県側も「できるだけ柔軟な対応を図る」と答弁しました。
市議会でも、竹内茂市議が公営住宅の入居期限について質問し、市側は柔軟な対応を約束。住まいの確保に苦慮する市民の声を行政に届け、政治を前に動かしています。