2019年12月12日(木)
台風19号2カ月 福島・いわき
修理進まぬ住宅 続くレトルト食
公的支援 乏しく
記録的大雨が東日本を襲い、浸水や土砂災害など甚大な被害をもたらした台風19号の上陸から12日で2カ月となります。公的支援が乏しい中、多くの被災者が依然として住まいの確保・再建などの見通しを立てられずにいます。(岡素晴)
福島県いわき市では、市内を流れる夏井川や好間川などが決壊、氾濫し、市によると約5300棟の住宅が床上・床下浸水。夏井川左岸の平窪地区は、住宅の修理が進むかたわら、片付けなどボランティアの復旧作業が今も継続中です。路上や住宅の敷地内の一部には災害ゴミが積まれ、庭の泥の撤去がまだのところも少なくありません。
川の堤防のそばで高齢の両親と暮らす男性(58)は、2階建ての自宅が水にのまれました。ボランティアの支援で浸水した1階部分は床板などがはがされていました。水は顔の高さまでおよんだものの、被害認定は、住まい再建のための公的支援が限定される半壊でした。
家計は父の年金に頼っており、「給湯器を直すだけで使える支援額の半分は消える。これ以上どうしようもない」。1階の修理はあきらめざるを得ず、浸水を免れた2階で生活を続けていくしかないといいます。
石油ストーブが水に漬かったため、暖房器具は二つあるこたつのみ。食事は電子レンジで温める弁当、そうざい、レトルトが中心です。ボランティア団体の炊き出しが行われる週末2日だけは、温かいスープもふるまわれますが、厳しい寒さが本格化する中、父(92)と母(86)の健康状態が心配されます。
避難所 世帯の仕切りなし
福島
福島県いわき市平窪地区で自宅が被災した男性(69)も、住宅再建の支援をどの程度受けられるのか、頭を悩ませる一人です。県が民間賃貸住宅を借り上げ、家賃を肩代わりする「みなし仮設」に入居しています。
自宅の被害認定は半壊。「見積もりで修理は140万~150万円をくだらないだろうと言われました。保険に入っていたから、ある程度は出ますが、同じく半壊だった親族の家は未保険でした。建て替えできるのかどうか」。半壊の場合、59万5千円が支援される応急修理制度や、県と市の見舞金では全然足りないといいます。
妻と2人暮らしだった男性。「妻はショックが尾を引き、家事をやる気力も失っています。しばらくはレトルトばかりでしのいでいくしかない」
一方、いわき市では11日現在で179人が避難所生活を送っています。
好間川近くの市営住宅1階に住んでいた女性(84)と、息子(54)。川の氾濫で団地一階の各部屋が軒並み床上浸水し、避難所に2カ月近く身を寄せています。2人が寝起きする避難所の1室は、畳の上に段ボールベッドが置かれ、約10人が生活。世帯ごとの仕切りなどは特にもうけられていませんでした。
元の市営住宅は修理の見通しが立っておらず、氾濫の危険が残る中、「たとえ修理できても同じ1階の部屋に戻りたくはない」と話す息子。みなし仮設への入居を申し込んでいますが、市営住宅の家賃よりも負担が重くなるため、家賃免除期間の終了後を考えると、不安が残るといいます。
日本共産党の吉田英策県議は「床上浸水1メートル未満でも、壁の断熱材を取り換え、床も全て張り替えなければならず、応急修理制度の支援ではとても間に合わない。被災者がもっと安心して生活を立て直せるよう国、県の支援を求めていかなければ」と話しています。