2019年12月11日(水)
主張
安倍改憲への執念
民意に逆らった暴走をやめよ
安倍晋三首相が臨時国会の閉幕を受けた9日の記者会見で、憲法改定について「決してたやすい道ではないが、必ずや私の手で成し遂げたい」と述べ、2021年9月までの自民党総裁任期中の改憲実現に強い執念を示しました。首相が目指した臨時国会での自民党改憲案の提示が野党と国民の反対でできなかったにもかかわらず、あくまで改憲を推し進めようというのはとんでもない憲法の私物化です。国民の意思に逆らう安倍政治の暴走は許されません。
思惑通りに進まぬなか
安保法制=戦争法の制定など憲法破壊の政治を繰り返してきた安倍首相が、17年5月の憲法記念日に憲法9条に自衛隊を書き込む明文改憲を20年から施行したいと発言してから、安倍政権の改憲策動は一段と強まっています。しかしその改憲スケジュールは、今度の臨時国会まで4国会連続で自民党改憲案の提示ができなかったことにも示されるように、首相の思惑通りには進んでいません。
9日の記者会見で安倍首相は、「新たな国づくりを力強く進めていく。その先には、憲法改正がある」と強調しました。さらに7月の参院選で憲法を「議論する党か、議論しない党か」を争点にしたとか、改憲についての「国民的関心は高まりつつある」と主張し、来年1月召集予定の通常国会で「憲法改正原案の策定を加速させていきたい」と明言しました。しかし参院選の結果は自民党など改憲勢力に、改憲案の発議に必要な3分の2の議席を与えていません。最近の共同通信などの世論調査でも、「安倍政権の下での憲法改正」に「反対」が「賛成」を上回っています。9条を改憲する「必要はない」は6割近くです。国民が安倍首相の推し進める改憲を求めていないことは明白です。
首相が改憲の旗を振り続け、国会での改憲論議をせき立てるのは、首相の憲法尊重・擁護義務や「三権分立」の原則を踏みにじる、許しがたい立憲主義破壊の暴挙です。
安倍首相は9月の内閣改造・自民党役員人事にあたって、「憲法改正を党一丸となって力強く進めたい」と表明、自民党改憲推進本部長に細田博之元幹事長を起用するなど“改憲シフト”を強化しました。自民党は全国各地で改憲のための集会を開くなど、改憲世論の喚起に躍起です。
首相は9日夜、首相公邸で自民党の二階俊博幹事長や岸田文雄政調会長らと会食した際にも「地方組織や後援会をフル動員すれば、憲法改正への国民の理解を得られる」と発言しました。国民世論に逆らって、あくまで改憲を強行しようという言語道断な態度です。
「桜」疑惑こそ議論すべき
閉幕した臨時国会では、首相自身に関わる「桜を見る会」私物化疑惑が大問題になりました。しかし首相は、説明から逃げ回りました。野党の要求によって閉会中も内閣委員会理事会で質疑することになりました。国会で緊急に議論すべきなのは「桜」疑惑です。
安倍首相が狙う憲法9条に自衛隊を書き込む改憲を強行すれば、自衛隊が大手を振って海外での戦争に参加することが可能になります。日本を「戦争する国」にしないために、危険な安倍改憲を阻止する世論と運動を全国津々浦々から広げていこうではありませんか。