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2019年12月10日(火)

きょうの潮流

 知り合いから誘われた会合がきっかけでした。その場で買った50万円の磁気ネックレス。効き目があると信じ込まされ、その後もさまざまな商品を購入。銀行より利息がいいと、多額の出資まで。しかし、手元には一円も戻ってきませんでした▼ジャパンライフの被害にあった栃木の80代の女性です。3人の子どもを育てながら必死に働いてためた老後の蓄え。それをすべて奪われ、後悔と不安ばかりが募る日々です▼独り暮らしのお年寄りなどに近づき、健康器具を買わせ、見せかけの「レンタル商法」に出資させる。そんな手口で、およそ7千人を偽り、2千億円もの被害額を出したのがジャパンライフです▼創業したのは、日本のマルチ商法の創始者の一人といわれる山口隆祥氏。同社をつくった1975年にはすでに国会に呼ばれている“有名人”です。良かれと信じる普通の人たちが知人に働きかけて被害をひろげるマルチ商法は、人と人とのつながりや信頼を悪用し、社会に害悪をまきちらすもの▼破綻した同社は、安倍首相から山口氏に届いた「桜を見る会」の招待状を最大限に利用して最後に荒稼ぎし、被害者を増やしました。多くの後援会員をはじめ、悪徳商法の代表や反社会的勢力の人物まで、なぜ税金を使った公的行事に招かれたのか▼深まる一方の疑惑や不信を前に政権与党は国会をわがものにし、強引に幕引きをはかろうとしています。人をだまし、みずからを利するモラル破壊の連鎖。いつまでも逃げ切れるとお思いか。


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