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2019年12月3日(火)

主張

首相「桜疑惑」答弁

これで逃げ切りは許されない

 安倍晋三首相による公的行事の私物化が大問題になっている「桜を見る会」疑惑をめぐり2日の参院本会議で、安倍首相に対する質疑が行われました。首相の地元後援会員を多数招いて優遇しただけでなく、詐欺的な悪徳商法で行政指導を受けたジャパンライフ元会長や反社会的勢力が招待された重大な事実が明らかになってきたというのに、首相はその経過を説明しません。招待者名簿を廃棄したことについても適正な手続きだったと開き直るばかりです。全く「説明責任」を果たしていません。これで疑惑の幕引きを図ろうということは絶対に許されません。

ごまかしと居直りに終始

 安倍首相が「桜疑惑」について国会で答弁に立ったのは11月20日以来です。この時の答弁で、首相は招待者の推薦について「意見を言うこともあった」と関与を認め、それまでの「関与していない」という説明が虚偽だったことが浮き彫りになりました。一方、約千人とされる首相の推薦枠の具体的な中身は一切明らかにしようとせず、「公人でなく私人」としている首相の妻・昭恵氏の推薦による招待者が多く含まれていた疑念についても語っていません。首相推薦枠の招待者数の根拠も薄弱です。

 とりわけ深刻なのは、多くの高齢者に被害を与え、消費者庁から繰り返し行政指導を受けて経営破綻したジャパンライフ会長(2015年当時)が、首相らの推薦枠で招待されたという問題です。

 2日の答弁で、首相は「多人数」の会合などでジャパンライフ元会長と同席した可能性は否定しないとしたものの、「個人的関係はない」、昭恵氏も「面識がない」と盛んに強調しました。不可解という他ありません。関係ない人物がなぜ首相の推薦枠とされる受付票の番号で招かれたのか。首相答弁では説明がつきません。ジャパンライフは「桜を見る会」招待状を大々的に宣伝に使い強引な勧誘を展開しました。被害者は約7千人、被害額は約2千億円にのぼるといいます。首相の人ごとのような答弁には、悪徳商法の元会長に送った招待状が被害を拡大させたことへの深刻な反省もありません。

 「桜を見る会」の前日に安倍後援会が都内のホテルで開く「前夜祭」をめぐる疑惑は全く払しょくされません。首相は、会費5千円が格安だったこと、前夜祭をめぐる経費が首相の政治団体の収支報告書に記載がないことは、問題ないと繰り返しました。しかし、明細書などは示せません。ホテルと合意したと一方的に主張しても、説得力はありません。

 今年5月に日本共産党議員が資料要求した1時間後に内閣府が招待者名簿を廃棄したことについても、手続きに沿ったものと従来通りの説明に終始しました。データ復元も不可能と言い張るだけで国民の疑念にこたえません。

一問一答の質疑が不可欠

 首相の今回の本会議答弁で、公的行事の私物化疑惑は一層深まりました。国民の税金を使って後援会員や支持者をもてなすことは、事実上の悪質極まる買収行為です。徹底解明には、野党の質問に首相が一問一答で答える衆参予算委員会の集中審議が不可欠です。

 ウソと隠ぺい、モラル崩壊という安倍政権の体質そのものが問われています。首相も与党も逃げ回ることはやめるべきです。


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