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2019年12月1日(日)

主張

桜を見る会招待者

解明を妨害する姿勢を改めよ

 税金が投じられた「桜を見る会」を安倍晋三首相らが私物化した疑惑は、重大な展開をみせています。高齢者への詐欺的な悪徳商法を繰り返し経営破綻した「ジャパンライフ」の元会長が招かれたこと、反社会的勢力が出席したことなどが判明するとともに、ジャパンライフ元会長への招待状は、安倍首相らの「推薦枠」で発送された可能性が極めて高いことが明らかになりました。しかし、政府は詳しい説明を拒み、名簿も廃棄したとの一点張りです。マルチ商法で問題になった会長がなぜ首相主催の行事に招かれたのか。絶対にあいまいにできない問題です。

「受付票」には「60」

 「桜を見る会」(2015年)でジャパンライフの山口隆祥元会長への招待状が首相推薦枠で送られた疑惑は25日、参院行政監視委員会での日本共産党の田村智子議員の質疑を契機に浮上しました。

 田村氏が問題にした資料は、「桜を見る会」の招待状発送を内閣府が外部委託をした際の仕様書(15、16年分)です。そこには招待状の区分番号が記されており、「総理・(官房)長官等の推薦者(60、61、62、63)」との記載がありました。一方、田村議員が同委員会で示した別の資料は、15年当時、ジャパンライフ会長だった山口氏に首相から「桜を見る会」の招待状が届いたことを宣伝に利用していたことを示す文書です。その中には「60」という数字が明記された「受付票」がありました。

 ジャパンライフ会長は首相の推薦枠だったことを浮き彫りにする事態に、野党は政府側に説明を求めました。当初、政府は自分で提出した資料だというのに、数字の意味も「分からない」などと確認を拒否しましたが、野党の結束した追及に、仕様書は内閣府として提出した資料であり、番号も招待状発送を効率的に行うためのものと公式に認めました。しかし「60」の説明は拒み続けています。

 政府の姿勢は不当という他ありません。29日の参院地方創生・消費者問題特別委員会で、日本共産党の大門実紀史議員が厳しく追及したように、「桜を見る会」の招待状が出されたタイミングは、ジャパンライフのマルチ商法被害が問題になり経営悪化していた時期で、招待状がジャパンライフの“最後の荒稼ぎ”を助けることになったからです。招待状を見て信用し、大きな被害を受けた人たちの深刻な証言は後を絶ちません。

 ジャパンライフは14年に消費者庁から行政指導をうけています。その直後の15年の「桜を見る会」に招かれた経過そのものが不可解です。ましてや首相の推薦枠だったとすれば、首相の責任が厳しく問われます。野党の質問に一問一答で首相が答弁する衆参の予算委員会を開き、真相を徹底的に明らかにすることが急務です。

「廃棄した」は通用せぬ

 招待者をめぐる疑惑は深まるばかりです。反社会的勢力はノーチェックだったのか。首相枠は政府が説明する約1000人ですむのか。首相の妻・昭恵氏推薦の「お友だち」の実態は―。疑惑は文字通り底なしです。

 何より問題なのは、政府が国会からの資料要求があったその日に名簿を廃棄し、データ復元も困難と言い張っていることです。真相解明に背を向ける安倍首相には政権を担う資格がありません。


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