2019年11月28日(木)
女川2号機 再稼働「適合」
規制委了承 被災原発で2基目
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原子力規制委員会は27日、東北電力女川原発2号機(宮城県女川町、石巻市)について再稼働に必要な新規制基準に適合するとの審査書案を了承しました。30日間の意見募集をへて正式に決定されます。2011年の東北地方太平洋沖地震で被害を受けた被災原発で、審査書案が示されたのは日本原子力発電東海第2原発(茨城県)に続く2基目。
重大事故を起こした東京電力福島第1原発1~3号機と同じ沸騰水型。震災時、外部電源5系統のうち4系統が遮断したほか、原子炉建屋が浸水するなど重大事故に「紙一重」の深刻な事態になりました。
審査書によると、地震の揺れは1000ガル(ガルは加速度の単位)と想定、想定津波は約24・4メートルで、東北電力は高さ29メートルの防潮堤を建設中です。
審査の申請は13年12月。原子炉建屋がたびたび地震の強い揺れを経験したため剛性(変形しづらさ)が低下し、その審査が長期に及びました。
規制委は、今後の工事計画の審査で将来の剛性低下も考慮した審査を行うと説明しています。
1号機はすでに廃炉が決まっていますが、東北電力は、2号機の対策工事に約3400億円、工事完了を2020年と見込んでいます。
再稼働には、工事計画の認可や対策工事の完了のほか、地元合意が必要になります。
女川原発をめぐっては、再稼働の是非を決める住民投票条例制定を求める11万人以上の署名が2月に宮城県に提出(県議会で自公が否決)されています。
原発は欠陥商品動かすのは危険
核・エネルギー問題情報センター事務局長、元中央大学教授舘野淳さんの話 新規制基準の特徴は、重大事故の際に原子炉格納容器内の放射性物質を環境中に放出させるベント操作を行うことが前提です。福島原発事故前は、事故が発生しても「止める、冷やす、閉じ込める」機能があるからといってきたのが、再稼働の原発では「止める、冷やす、放出する」になり、安全の考え方が根本的に変わりました。ベントは住民を放射能にさらす危険を伴います。住民の犠牲につながる運転は大問題です。さらに原子力規制委員会が福島第1原発事故の原因分析の再調査を始め、ベント配管の汚染状況を調べています。審査する前に、そうした解明をすべきではないでしょうか。
また重大事故時の対策に消防車などの可搬式設備で対応することになっていますが、それらは本来の安全装置が機能しないためのカバーです。原発は欠陥商品であり、動かすのは早くやめるべきです。