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2019年11月25日(月)

主張

日米地位協定改定

米軍への国内法適用を緊急に

 沖縄県は、在日米軍の法的地位などを定めた日米地位協定の問題点を明らかにし、抜本改定の必要性を広く訴えるため、他国が米国と締結している地位協定の調査を進めています。今年8月には、NATO(北大西洋条約機構)加盟諸国に続き、米国の主要同盟国の一つであるオーストラリアを現地調査し、米軍にも国内法が原則適用されることを確認しました。国内法が適用されない日米地位協定の不平等性がいよいよ浮き彫りになっています。

豪、米軍機を解体・検査

 オーストラリアでは、2012年から北部ダーウィンに米海兵隊部隊がローテーション(交代)配備されています。

 米太平洋海兵隊がウェブサイトに掲載したニュース(15年3月24日付)によると、ハワイの基地からダーウィンに派遣するCH53E大型輸送ヘリについて「20日近くかけて完全な解体、細部の洗浄、検査、再組み立てを行う」としています。「この手続きは、ダーウィンへの米海兵隊ローテーション部隊に航空機を配備する際に求められる」ものであり、「オーストラリアの検疫検査局がオーストラリア政府の環境要件を満たしているかについて航空機の検査をする」ためです。

 「環境検査が完了しオーストラリアに陸揚げされると、10日~20日をかけて組み立てと試験を行い、その後、航空機は訓練での使用が許される」としています。日本の現状では想像できないことです。

 沖縄県の説明資料によると、「オーストラリアでは、バイオセキュリティ法(検疫に関する法)や軍の航空規則などの国内法令を米軍に適用」しています。

 これに対し日米地位協定には検疫に関する規定がありません。

 1995年9月に沖縄県で起きた米海兵隊員らによる少女暴行事件で日米地位協定の改定を求める声が高まる中、日米両政府は96年12月、「沖縄に関する特別行動委員会(SACO)」の最終報告を決定しました。同報告には、地位協定の「運用改善」として、検疫手続きに関する日米合同委員会合意が盛り込まれました。

 同合意は、日本の米軍基地から入国する米軍機や米軍艦船については、米軍自身が検疫を行うとしています。しかし、米軍が実際に検疫を行ったのか、どのような基準と方法でしたのかなど、日本側は知ることができません。

 NATO加盟のドイツで、人、動物、植物の伝染病の予防と駆除について、同国の法令と手続きが原則適用されるとしていることとも対照的です。

治外法権的特権なくせ

 沖縄県は17年9月、県内市町村などからの意見も取り入れ、11の条文に関係した28項目に上る日米地位協定の改定を安倍晋三政権に要請しています。この中で、検疫に関しても、国内法の適用を明記し、日本の当局が実施できるようにすることを求めています。

 これまでの調査を通じ、沖縄県は、NATOなどでは自国の法律や規則を米軍にも適用し、その活動をコントロールすることによって、自国の主権を確立していると指摘しています。

 国際水準から大きく立ち遅れ、米軍に治外法権的な特権を与えている日米地位協定の抜本改定は待ったなしです。


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