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2019年11月24日(日)

主張

増税で傷つく経済

失政を認めて抜本的な転換を

 安倍晋三政権が、相次いだ災害の復旧・復興や海外経済の不安定化などに対応するとして、2019年度補正予算案の編成など「経済対策」の検討を本格化させています。日本経済の先行きが不透明になっていることも大きな理由です。安倍政権の政策では日本経済は再生せず、それどころか相次ぐ消費税の増税によって新たな消費不況が顕在化しているのが実態です。安倍政権が「経済対策」を言うなら、まずは増税という失政の責任を認め、政策を抜本的に転換することが求められます。

新たな消費不況が顕在化

 安倍首相は今月8日の閣議で、「経済対策」の策定と補正予算案の編成を指示しました。しかし、そこには安倍首相が政権に復帰した後の14年4月と今年10月の2回にわたる消費税の増税によって国民の消費を大きく落ち込ませ、日本経済に深い傷を負わせていることへの根本的な反省はありません。消費税を10%に増税した後、消費不況はさらに深刻化しています。

 消費税を10%に増税してからの日本経済の落ち込みは、関連業界や政府の統計でも明らかです。自動車業界や大手百貨店の売り上げは10月になって落ち込み、政府(内閣府)が11日発表した景気ウォッチャー調査(街角景気)でも、10月の景気の現状判断は前月に比べ10・0ポイントも低下しました。

 最も基本的な政府の経済統計である国内総生産(GDP)も、7~9月期はかろうじて前期に比べ実質0・1%増となったものの、伸び率は前期に比べ大幅に減速しました。GDPの約6割を占める個人消費は実質わずか0・4%の伸びで、雇用者報酬はマイナス0・0%です。消費税増税後の10~12月期は、大幅なマイナス成長になるという予測です。

 安倍政権が「経済対策」の検討を始めたのも、米中貿易摩擦などによる海外経済の不安定化に加え、こうした国内経済の現状が無視できなくなったからです。自民党や公明党など与党の中からは、10兆円規模の補正予算案を求める声も出ています。中身を詰めるのはこれからですが、災害対策のほか、大企業の研究開発への新たな支援や大規模な公共事業が中心とみられます。安倍政権に消費税の度重なる増税をはじめとした失政を改める方向はありません。

 もともと「アベノミクス」などと言ってきた安倍政権の経済政策は、大企業や富裕層を富ませるばかりで、勤労者の賃金上昇や中小企業の売り上げ向上には結び付いていません。貧困と格差は拡大する一方です。安倍政権が「経済対策」を検討すると言うなら、こうした大企業と富裕層本位の経済政策を転換して、国民の暮らし応援にかじをきるべきです。

暮らし応援の政治こそ

 消費税の税率を5%に戻すことは、その重要な柱です。10%への増税後、新たな消費不況に落ち込みつつある中で、国民の暮らしや中小企業を応援するためにも、消費税負担の軽減は緊急の課題です。

 日本共産党は、最低賃金の引き上げや中小企業への支援、社会保障充実など、暮らしを応援する具体的な方針を示しています。財源は消費税に頼らず、大企業と富裕層への応分の負担と、無駄な経費の削減などで十分確保できます。いま必要なのは、それに真剣に取り組む政治を実現することです。


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