2019年11月22日(金)
チリ 年金5割引き上げへ
来年から順次実施
抗議デモ受け与野党合意
南米チリで21日未明、ピニェラ政権の与党と野党の代表者が、基礎年金支給額を5割引き上げることで合意しました。格差拡大に抗議するデモへの対応として政権側が約束した措置の具体化。実施は来年1月から一部で開始され、2022年までに全世代が現状より5割増の年金を受け取ることになります。地元メディアなどが報じました。
合意内容は、まず81歳以上の高齢者の基礎年金を来年1月から50%引き上げるもの。75~80歳については、同月から3割増、21年1月に5割増にします。75歳未満については来年から毎年1月に25%、40%と引き上げ、22年に50%を達成する計画です。
ブリオネス財務相は合意発表の会見で、年金額の引き上げは現在審議中の予算案とは別の法案で最終決定となるとし、同法案の手続きを早急に行うと約束しました。
与野党はまた、高齢者の交通料金の半額割引制度も来年6月から実施することも合意。合意文書は、国民が強く要求している公共医療の充実に向け、応急手当て向け予算を国民1人当たり6494ペソから7200ペソ(約986円)に増額することも盛り込まれています。
同国では、格差拡大の背景にある新自由主義経済モデルへの批判が高まっており、与野党は、同モデルの土台となっているピノチェト軍政時代に制定された1980年憲法の改定手続きでも合意。新憲法の必要性を問う国民投票を来年4月に行う予定です。