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2019年11月13日(水)

台風19号1カ月

発災直後から救援全力

長野 共産党ルポ

 台風19号の本土上陸から1カ月。長野県内では、千曲川の堤防決壊や支流河川の氾濫などで甚大な住家被害を受け、懸命な復旧作業が続いています。11日現在で686人がいまだに避難生活を強いられています。日本共産党は災害発生直後から復旧・救援活動に取り組み、被災者の声を聞き、励まし、生活再建へ全力を挙げています。その1カ月をルポします。(山本健二)


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(写真)豊野地区を巡回し被災者に困りごとを聞く野々村市議(左端)と、東京からボランティアに駆け付けた党新宿区議団ら=10月28日、長野市

 長野市内では、住家の被害がとりわけ大きかった豊野、長沼両地区に救援ボランティアセンターを設置し、県内の党員だけでなく、全国からの支援を含めて400人以上が救援活動に参加しています。

 福井県から参加したボランティアが「困りごと、ありませんか」と巡回していると、作業服の男性から「着の身着のままで避難した」と聞き、すぐさまセンターに報告。滝沢真一市議が男性宅へ衣類を配布すると、男性は一言「ありがとう」とつぶやきました。

 千曲川決壊から1カ月の現在も、センターのボランティアは泥かきや災害廃棄物の運び出しに奮闘。豊野のセンター前では、カセットコンロや衣類など生活物資の無料「青空市」を開き、「冬物の下着が欲しい」などの要望を受け付けています。

 党長野県委員会が山口典久県議を本部長に災害被害対策本部を設置したのは、台風19号が上陸した翌日の10月13日でした。長野市はじめ県内各地の被災者への救援活動に、党議員や党員が奔走しました。

 山口県議は10月13日早朝、千曲川の決壊の危険を知り、武田良介参院議員、野々村博美、滝沢両長野市議とともに豊野地区を拠点とする佐藤久美子市議の事務所に急行しました。ところが、豊野駅前は胸まで漬かるほどの濁流があふれ、とても事務所までたどり着けませんでした。

 一行は、濁流を逃れてきた市民から「家族や知人が取り残されている」と聞きました。40人以上の市民と協力して、市の水防倉庫から2隻のボートを担ぎ出して市民を救出しました。

 さらに一行は、地域の避難所である豊野西小学校へ。「食事が取れていない」「洋式トイレが足りない」という避難者の切実な声を聞き、すぐさま長野市に要望を届けました。

 10月14日には藤野保史衆院議員、井上哲士参院議員、武田参院議員が駆け付けて長野、佐久、中野、飯山各市の被災状況を調査しました。

 長野市の豊野西小学校では、300人以上の住民が避難していました。党市議団は住民を励まし、農民連と協力して、炊き出しのおにぎりを配布し、避難者への血圧チェックも行いました。

生活再建 改善実る

「生きていること赤旗が証明」

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(写真)豊野西小学校の避難所で被災者の話を聞く(右手前から奥へ)山口、武田、井上、藤野の各氏=10月14日、長野市

 長野県内では、線路の陥没や橋の崩落などに見舞われた飯山市や上田市などでも、党議員団が災害発生から日を置かずに被災状況を調査。「店内の泥が落ちない」(飯山市の飲食店経営の男性)、「自動車が水没した」(小布施町の女性)と床上浸水などの被害に遭った苦境に耳を傾け、罹災(りさい)証明書の申請など今後の対応を助言しました。

 災害により困難になっていた「しんぶん赤旗」配達でも、地元の党が奮闘しました。長野市豊野地区では被災を免れた支部員を中心に、がれきなど災害廃棄物や泥にまみれた町中を注意深く歩いて、日刊紙を届けました。読者からは「自分はここに生きていることを『赤旗』に証明してもらった」と感謝の言葉が寄せられました。

 9月に市議選が終わったばかりの長野市議団(6人)は、被災者から寄せられた切実な要望を基に「市への緊急申し入れ」を重ねてきました。11月6日までで11回に上り、これを機に被災者の要望が一つずつ実りました。

 当初は廃棄物を遠くの指定仮置き場に搬入することが求められましたが、「勝手置き場」という地域内の集積も認められ、自衛隊の協力も得られるよう改善しました。他にも、▽避難所に洗濯機、乾燥機を設置▽県下初の福祉避難所の設置、広域連携で介護士の24時間配置▽避難所にいる人全員へのインフルエンザ予防ワクチン接種▽水道・下水道使用料金の減免▽避難所への医師・保健師・医療スタッフの巡回・診療―など従来の制度の枠組みを超えて実現しました。

 今後の復旧への取り組みについて、山口県議は「被災されたみなさんのところに足を運び、ていねいに寄り添って生活や生業(なりわい)の再建の力になりたい。長期の取り組みになるかもしれませんが、がんばります」と話しています。


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