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2019年11月13日(水)

主張

被災者への支援

深刻な実態に見合っているか

 東日本を中心に記録的豪雨で多くの犠牲者と甚大な被害をうんだ台風19号の上陸から、12日で1カ月になりました。河川の氾濫・決壊によって濁流に襲われた地域では、住居や事業所、農地にたまった大量の泥に苦しめられ、災害ごみの処理も難航しています。避難所で生活する人はいまも10都県で約2500人にのぼります。壊れた自宅に戻って暮らす「在宅避難者」も数多くいます。

 困難を抱える一人ひとりの被災者に寄り添い、深刻な実態に見合った力強い支援を本格的に加速することが、いまこそ必要です。

希望が見える支えこそ

 台風19号とそれに続く10月末の台風21号は、関東・甲信越、東北など広域に水害や土砂災害を引き起こしました。9月の台風15号の暴風被害をうけた千葉では、相次ぐ災害で二重三重に苦しめられている被災者も少なくありません。8年8カ月前の東日本大震災で被災した福島、宮城、岩手の各県でも、台風19号によってまたも住宅や営業の基盤を崩された人たちがいます。

 生活再建の見通しがたたない被災者に希望の見える支援をおこなうことが、政治の責任です。

 この間の災害を通じて築いてきた支援の仕組みや制度をフル活用するとともに、既存の枠組みにとどまらず、実情と要望に合わせた柔軟で弾力的な運用と、制度の思い切った改善・改革が求められています。

 寒さがきびしくなるなか、避難所に身を寄せる被災者へのきめ細かな支援は不可欠です。同時に、浸水して1階が損壊した自宅の2階などで生活している在宅避難者への支援を強める必要があります。実態をつかみ継続的に支えることができるよう、国と自治体の特別な努力が欠かせません。

 応急仮設住宅や借り上げ住宅などの確保は急務です。重要なのは、住まい再建に向けた支援を抜本的に強めることです。台風19号の住宅被害は31都県で約8万8000棟に達しますが、現在の被災者生活再建支援法の対象となる「全壊」や「大規模半壊」に至らないケースが多くなる恐れがあります。

 全国知事会などは「半壊」までを対象にすることを求めています。「一部損壊」まで広げることの必要性も浮き彫りになっています。国の支給額が「全壊」で最大300万円というのも低すぎます。被害の実態をふまえた運用とともに、支給額の大幅引き上げなどの制度改正を早急に実現すべきです。

 リンゴやモモなどの果樹、ハウス栽培、稲作をはじめ壊滅的な被害を受けた農家からは、「もう農業をやめたい」という悲痛な声まで上がります。ハウス再建、果樹の植え替え、農業用機械の補助など生業(なりわい)再建への支援・拡充が必要です。中小企業に対するグループ補助金をさらに使いやすい制度にすることも大切です。

生活・生業再建を柱に

 被災者の住まいと生活、生業の再建を柱にした支援は、地域全体の復旧・復興をすすめる土台となります。

 地球温暖化を背景に、台風の大型化や豪雨の頻発が続くなか、国民の命と生活を守る国の役割はいっそう重要になっています。防災・減災のあり方を抜本的に見直し、災害に強い国づくりをすすめることが急がれます。


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