2019年11月7日(木)
第8回中央委員会総会
第一決議案(政治任務) 小池書記局長の結語
日本共産党第8回中央委員会総会で5日承認された小池晃書記局長の第一決議案の討論の結語は次のとおりです。
第一決議案の結語をおこないます。
この決議案の主題は、「市民と野党の共闘」を、「連合政権をめざす共闘」に質的に発展させるとともに、共闘の決定的な推進力であり、日本の政治をおおもとから変革する日本共産党の躍進を実現することにあります。総会の討論でも、全国から寄せられた感想文でも、その内容は全体として歓迎されました。
安倍政治転換の「三つの方向」に強い共感
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なかでも、連合政権をめざす共闘へ発展させるうえで、今回、安倍政治からの転換の「三つの方向」を提起したことに、全国から強い共感の声が寄せられています。
決議案についての報告でも強調しましたが、これは、いままでの野党間の合意の内容を踏まえて、共通している方向を三つの点で整理したものです。
第一に、憲法にもとづき、立憲主義、民主主義、平和主義を回復する。
第二に、格差をただし、暮らし・家計応援第一の政治にきりかえる。
第三に、多様性を大切にし、個人の尊厳を尊重する政治を築く。
これはいわば、今日における「政治転換の三方向」です。この三つの方向は、当たり前のように見えるかもしれません。しかし、その当たり前のことを破壊してきたのが安倍政権です。だからこそ安倍政治の問題点を鋭くただし、その転換の方向を明示するものとなっています。しかもこの三つの方向は、すでに野党間で共有しているものであり、十分に一致できるものです。
埼玉の同志からこういう感想文が寄せられました。
「当たり前のことを壊した安倍政権に対して、当たり前の政治とは何かを分かりやすく、日常的な言葉でしゃべれるようにまとめてくれたのは大変良い感じで受け止めています」
安倍政権は、市民と野党の共闘に対して、「理念なき野合」などと悪罵を投げつけますが、とんでもありません。この三つの方向は、安保法制(戦争法)に反対するたたかいの中から生まれ、その後の4年間の選挙協力と、国会内外でのたたかいを通じて、揺るがぬものとなってきた理念です。日本共産党は、市民と野党のみなさんに、この三つの方向にそって、安倍政治を転換する野党連合政権をつくることを心からよびかけるものです。
共闘の新しい到達が生き生きと語られた
総会の討論では、市民と野党の共闘がさまざまな困難と曲折を経ながら、新しい到達を築いてきたことが、生き生きと語られました。
宮本たけしさんが、4月の衆議院大阪12区補欠選挙でのたたかいのドラマを語りました。バッジを外し退路を断って立ち上がり、野党共闘で野党の議席をかちとらせてという訴えに、党派を超えて51人の現職・前職議員が駆けつけて応援し、全国から1000人のボランティアが結集し、募金も1700万円を超えました。まぎれもない日本共産党の国会議員が、野党の統一候補としてたたかう経験が生まれたのが衆院大阪12区補選でした。
それが7月の参議院選挙で、わが党が擁立した候補者を野党統一候補にする動きにつながり、鳥取・島根選挙区で中林よし子さん、福井選挙区で山田かずおさん、そして、徳島・高知選挙区の松本けんじさんのたたかいに実を結びました。これらの選挙に真っ先に駆けつけ、応援してくれたのも、大阪12区で宮本たけしさんを応援してくれた野党議員の方々でした。
この流れが、高知県知事選挙への道を開きました。広田一さん(衆院議員・「社会保障を立て直す国民会議」)が選対本部長となり、中村喜四郎さん(衆院議員・立憲民主・無所属フォーラム)が決起集会で、「奇跡を起こそう」と訴えてくださっています。11月4日には立憲民主党の安住淳さん、国民民主党の原口一博さん、そしてわが党の穀田恵二さんと、3人の国会対策委員長が、並んで松本けんじ県知事候補の必勝を訴え、立憲民主党の武内則男衆院議員が司会を務めました。宮本たけしさんのバトンがつながり、全国へと広がっています。
このように、一歩一歩積み重ねてきた努力をつうじて、相互に応援する本気の共闘の流れが生まれています。これをさらに加速し、野党連合政権をめざす共闘に発展させ、安倍政権を倒し、新しい政治を必ずつくろうではありませんか。
個人後援会の新しい提起について
選挙をたたかう方針をめぐって、「必要に応じて、党議員・候補の個人後援会をさまざまな名称、形態でつくり、幅広い方々と力をあわせる活動にも取り組む」という新しい提起について、全国からの感想では、多くの歓迎する感想が寄せられていますが、心配の声も寄せられています。「『日本共産党後援会よりも個人後援会の方がやりやすい』となって、これまでの努力を弱めることにならないか」といったご意見です。
しかし新しい提起は、「比例を軸に」をいささかも弱めるものではありません。決議案ではそこを明確にしています。「『比例を軸に』をつらぬき、『日本共産党後援会』としての活動を選挙戦の基本としつつ、必要に応じて」個人後援会をという提起です。ですから個人後援会に参加する人にも、比例は日本共産党への支持を広めてもらうように働きかけることが必要です。またこれは、どの選挙区でも一律に個人後援会をつくるという提起ではありません。それぞれの選挙区の状況をよく検討して、「必要に応じて」つくるという方針です。
これまで活動してきた「勝手連」的なサポーターとの関係をどう考えるのかという質問も寄せられました。
この間、市民と野党の共闘の発展のなかで、多彩な形態で党候補を応援する人々が生まれています。その多くが、インターネット・SNSを活用して結びつきを広げ、一人ひとりの自発性や創意性を生かしながら活動しています。こうした人たちに対しては、党が活動のあり方を押しつけるのではなく、さまざまな形で党候補を応援してくださっている方々の意見をよく聞いて、“学ぶ姿勢”を大切にして、名称や活動のあり方を相談していくようにしていきたいと思います。
市民と野党の共闘という新しい情勢のもとで、方針を発展させて、「比例を軸に」、日本共産党への支持を大きく広げる活動に挑戦することをよびかけるものです。
積極的支持者を増やす活動とともに党の自力をつける仕事を
積極的支持者を増やす日常活動の強化についても、「大事だ」という受け止めが広がりました。
宮城県議選をたたかった同志からの感想文では、「県議選では、『水道民営化や女川原発ストップ、消費税5%減税の願いにこたえているのは共産党』と広がったけれども、それだけではなく、『共産党だからこそこたえられる』という角度で話さないと、積極的支持者になるのは難しいと思っていた。でも選挙だけで考えると、狭い視点にしか立てない。日常活動でどう語り、その姿を見せていくことの強化がよびかけられたことで、私自身もすっきりした」とのことでした。
共闘の時代に党躍進をかちとるカギは、「共産党だから支持する」という積極的支持者を増やす日常活動の強化にある。これは、この間の選挙をたたかったみなさんの共通する思いではないでしょうか。
この課題は、2017年総選挙の結果をふまえて3中総で提起したものです。そしてJCPサポーター制度や「しんぶん赤旗」電子版の発行などにも取り組んできました。その後、6中総では、選挙直前ということもあり、「批判とともに希望を語る論戦」とあわせて「政治論戦の二つの力点」として位置づけ、選挙戦の中でも双方向の取り組みなどが全国に広がりました。
さらにこの大会決議案では、腰をすえて取り組む課題にしようということで、選挙方針の冒頭にすえました。このことも歓迎されています。滋賀県の同志の感想文では、「積極的支持者を増やすことは本当に大事だが、どう実践するか。党員はおそらくみんな党のことを知ってほしいと願っていると思う。ここに依拠していけば実践が広げられると思うので、こじあけたい」と述べています。みんなでこじあけようではありませんか。
積極的支持者を増やす活動とともに、党の自力を強くするための独自の努力を強めることは、どんな複雑な情勢でも、共闘の勝利と党の躍進を同時に実現するために絶対不可欠な課題です。積極的支持者の中核は党員です。そして、「しんぶん赤旗」読者です。自力をつけることこそ、「積極的支持者を増やす」ことの中心をなすものであることを、あらためて強調したいと思います。
そして積極的支持者を増やすための取り組みにあたって、最良、最強の力となるのが、本総会で承認されるであろう党綱領一部改定案です。綱領改定案をおおいに語り、日本共産党の綱領、理念、歴史を丸ごと理解してもらう取り組みを、全国津々浦々に広げに広げようではありませんか。
そのことを訴えて結語を終わります。