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2019年11月5日(火)

政治考

自公連立 20年(下)

協力で相互劣化

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(写真)共同で記者会見し、握手する(左から)れいわ新選組の山本太郎代表と志位和夫委員長=9月12日、国会内

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(写真)そろって記者会見する社民党の又市征治党首(左)と志位和夫委員長=10月17日、国会内

 国政選挙での深刻な得票減に危機感を強める公明党。関係者から「高齢化に伴う組織力の低下」もささやかれますが、それだけでしょうか。

 「自民党にくっつくことで公明党は弱くなり、弱くなるからより自民党に頼らざるを得ない」―。神奈川県の40代の創価学会員の男性はこう指摘します。

 第2次安倍政権発足以降、「公明党はブレーキどころかアクセルを踏み続けてきた」とし、「平和の党」「福祉の党」を名乗りながら、平和、福祉の「破壊の党」となってきたことへの怒りを隠せません。

政治的力弱める

 「安保法制=戦争法(15年)では、公明党の北側一雄副代表が、自民党の高村正彦副総裁と協力し、集団的自衛権行使の正当化の議論を提供してきた。共謀罪法(17年)では、公明議員が『何の問題もない』と国会審議で繰り返し、参院では公明の秋野公造法務委員長が審議打ち切りの強行採決を主導した。森友学園疑惑では竹谷とし子参院議員は、学園理事長だった籠池泰典氏がいかに悪い人物かだけを強調した」と指摘。「この状況の中で、まじめな学会員ほど反発し気持ちを落とした。組織を守ることで国が滅び、国民や創価学会員が不幸になっても構わないという体質だ」と語ります。

 安倍政治へのすり寄りが、創価学会・公明党自体の政治的力を弱めている―。協力が相互に劣化を生む皮肉な結果です。

 自公協力に反対して自民党を離れた元自民党の地方議員の一人は「自民党の衰えに公明の下駄をはかせて政権を維持するのが自公協力だった。自民党も組織力を低下させたが、政権のうまみにありついた公明党は自民党化して公明党としての力を失い、互いに補い合う新しいメリットが生まれている」と告発します。

 自民党の二階グループの関係者は「公明党はますます強く自民党の後援会名簿の提出を迫ってくる。自民党候補は、公明党の確実な支援を得るために、街頭で『比例は公明』を叫んでいる」と語ります。まさに権力目当ての究極の野合です。

 これを倒し新しい政治を開くカギは、市民と野党の共闘を、より強く有権者にアピールする共闘のバージョンアップです。

野党の覚悟問う

 日本共産党の志位和夫委員長は、野党連合政権への話し合いを始めようと提起し、れいわ新選組の山本太郎代表、社民党の又市征治党首と会談し、連合政権づくりへ合意を交わしました。他の野党党首にも対話を呼びかけています。

 一橋大学の中北浩爾教授(政治学)は「『自公』対『野党』の対決は、単純な『権力』対『人民』の構図ではない。自民党と公明党は地域に堅固な支持基盤をつくり上げている」と指摘。「市民を含む野党共闘の意義はこの点にあり、どれだけ地域に根を張れるかが成否を決める。野党が正論を掲げても勝てないのは、選挙協力の緩さと支持基盤の弱さゆえではないか」と投げかけます。

 そのうえで「現在の野党は安倍政権批判でまとまっているが、本当に自公に代わって政権を担当できるか。何よりも国民が安心して政権を託せる枠組みと政策が不可欠だ。また、互いに譲り合う姿勢がないと、連立政権は続かない。それぞれの野党の覚悟が問われる」と語ります。(おわり)

 (中祖寅一、日隈広志)


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