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2019年11月2日(土)

英語民間試験延期 市民の運動・世論 力に

「今日が新たな始まり」

 大学入試「改革」をめぐって1日、文部科学省は英語民間試験の導入「延期」を決定しました。約2カ月間、高校生や大学生、教員らが多くの問題点を指摘しながら抗議などを展開。世論の広がりを受けて、野党4党も英語民間試験の導入延期法案を共同提出するなかで実現しました。

「どう喝するな」

 この問題を、多くの人が知ることになったのは8月24日でした。きっかけは、柴山昌彦文部科学相(当時)が埼玉県知事選の応援演説をした時に、大学入試改革に反対して「柴山やめろ」とヤジを飛ばした慶応大生を排除したことです。

 これを受けて、8月30日に文科省前抗議が呼びかけられました(主催=怒りの可視化)。現役の高校教員の訴えも紹介され、「どう喝するな」「大学入試の改悪やめろ」とコールしました。

 9月に入ると、今年3月まで英語の教員をしていた、都内に住む田中真美さん(52)が文科省前抗議を引き継ぎました。3回の抗議を呼びかけ、さらに国立大学協会(国大協)前でも行動。日本共産党や立憲民主党の国会議員も参加しました。

 高校生もスピーチしました。都内の高校2年生(17)は、大学入試改革の構造的な問題点をつぎつぎと指摘し、「いいたいことは一つです、僕たちに『入試』を受けさせてください」と訴えました(10月4日、文科省前)。

多くの問題残る

 抗議とあわせて、さまざまな人たちがシンポジウムや署名活動、国会議員への要請FAXなどにも取り組みました。そんななか、萩生田光一文科相の「身の丈」発言(10月24日)に大きな批判が集まります。

 10月26日に取り組まれた国会正門前抗議(主催=高等教育無償化プロジェクトFREE)では、柴山前文科相にヤジを飛ばして排除された、慶応大生もスピーチしました。「萩生田さんがいう『身の丈』というのは、親の経済力や生まれた地域などを指しています。ありえない発言です」

 今回、英語民間試験について延期が発表されましたが「中止」にはなっていません。さらに、大学入試「改革」にはまだ多くの問題が残されています。萩生田氏の辞任を求める声が広がっています。

 1日に「入試改革を考える会」が行った国会内の会見で予備校教師の吉田弘幸さんがいいました。この間の運動の広がりによって、「入試にかかわる他の問題点についても共有している人がたくさんいます。今日が新たなはじまりです」。

 (前田智也)


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