2019年11月2日(土)
英語民間試験を延期
高校生「第一歩を踏み出せた」
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萩生田光一文科相は1日の閣議後の記者会見で、2020年4月の大学入試への英語民間試験の導入について、延期すると表明しました。同試験をめぐっては、家庭の経済力や居住地で格差が生じるとの懸念が現役高校生や幅広い教育関係者から噴出。野党は共同で導入延期法案を衆院に提出し、日本共産党の畑野君枝議員が10月30日の衆院文部科学委員会で撤回を要求。野党は一致して導入中止を求めていました。
導入延期を受け、延期を求めて文科省前などで声を上げてきた高校生が1日夕に国会を訪れ、野党議員と報告集会を開催。高校2年の男子生徒は「声をあげたことが初めて実る経験をした。日本では決まったことは仕方がないと受け入れることが多いが、おかしいと声をあげたことに応援・賛同してくださる方が増え、改悪を止める第一歩を踏み出せたことに感謝します」と発言。高校1年の女子生徒も、延期の知らせが学校で話題になったとし「今まで声を上げても何も変わらないと思っていた。でも、この問題を通じて、声を上げる人がいるから変わるんだと思えた」と語りました。
萩生田氏は10月24日のBS番組で、格差が生じるとの懸念に対し「自分の身の丈に合わせて頑張って」と発言。格差を容認する姿勢に厳しい批判があがっていました。
萩生田氏は1日の会見で、4月からの導入に固執してきたこれまでの態度から一転。「現時点で、経済的な状況や居住地域にかかわらず等しく安心して試験を受けられるような配慮など、文部科学大臣として自信をもって受験生にお薦めできるシステムにはなっていない」と述べ、深刻な構造的欠陥があることを認めました。
一方、「(導入延期に)私の発言が直接影響したということではない」とし、自身の責任は否定しました。24年度実施に向け、文科省に新たな検討会を立ち上げ、1年をめどに結論を出すとしています。
報告集会で高校2年の男子生徒は「経済・地域格差をなくしていくのが政府の姿勢ではないか」と批判。別の男子生徒は、「延期だけではいまの中学生が犠牲になってしまう。そこを変えていくために、今から声をあげていきたい」と語りました。