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2019年10月22日(火)

主張

「原発マネー」疑惑

「再稼働利権」の核心に迫れ

 関西電力役員が高浜原発のある福井県高浜町の元助役から3億円を超す多額の金品を受け取っていた「原発マネー」還流疑惑について、安倍晋三政権が真相解明に背を向ける姿勢を際立たせています。日本共産党など野党は、関電役員らの国会招致を求めていますが、政府・与党は応じようとしません。国会での審議を通じ、今回の疑惑の大本には、安倍政権が推し進める原発再稼働政策をめぐる利権と癒着の構図があることが浮き彫りになっています。国策の中から噴き出した疑惑の全容解明は国政の最優先課題です。“関電まかせ”で済ませることは許されません。

経産職員が高浜町に出向

 関電の会長や社長の経営トップらにたいする金品提供をめぐる疑惑では、東京電力福島第1原発事故があった2011年から7年間、原子力部門を担当していた役員ほど多額の金品がばらまかれていたことが明らかになっています。元助役には原発関連事業を請け負っている地元の建設会社から約3億円の資金が渡っており、国民が支払った電気料金を原資とした原発マネーが、元助役を介して関電の役員に還流していたことは疑う余地はありません。

 関電は11年以降、原発再稼働のため家庭向けの電気料金を2度値上げしています。それを認可したのは経済産業省です。公益事業を担う関電に対する政府の監督責任が厳しく問われるのは当然です。

 さらに、衆参予算委員会での日本共産党の質疑などで、政府と高浜町との深い関係を示す重要な事実が判明しています。藤野保史衆院議員の質問(11日)は、高浜町に経産省から4人の職員が08年から現在まで出向していることを明らかにしました。この期間は、使用済み核燃料からプルトニウムを取り出して原発の燃料に利用するプルサーマルを政府が推進する時期と重なっています。出向職員がプルサーマルをめぐり関電と地元との調整で中心的な役割を果たしたことは明白です。経産省は、出向者と元助役との関係について詳しく説明していません。徹底調査し、国会で議論すべき大問題です。

 井上哲士参院議員は質問(16日)で、原発再稼働にともなう「追加的安全対策費」についてただしました。福島原発事故後、関電の安全対策費は年々増え続けています。それにつれて元助役から関電の原子力部門幹部役員に提供された金品額も膨らんでいることを示しました。元助役に資金提供した建設会社は、国の原発関係の交付金を使った公共工事を受注しており、この交付金が関電に還流している疑いも濃厚です。経産省は、建設会社の受注状況などを記した資料を国会に提出することを拒んでいますが、解明を妨害することはただちにやめるべきです。

関電役員の国会招致を

 政府が旗を振って推し進めた再稼働の中で、どう金が動き、だれがどうかかわったのか―。関電、地元の自治体や政財界だけでなく、政権との関係も含め、全体像を明らかにすることが必要です。関電の調査報告書には、元助役が国会議員をはじめ幅広い人脈があると明記されており、あいまいにできません。隠ぺい体質を改めない関電の「第三者委員会」では期待できません。安倍政権は関電役員らの国会招致に応じるとともに、全容解明に責任を果たすべきです。


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