2019年10月20日(日)
「野党連合政権」への道をどうやって切り開くか
革新懇全国交流会 志位委員長の特別発言
日本共産党の志位和夫委員長は19日、神戸市で開かれた革新懇全国交流会で特別発言を行いました。
台風災害にどう対応するか
|
志位委員長は冒頭、各地で甚大な被害をもたらした台風19号の犠牲者と被災者に哀悼の意とお見舞いを表明。18日に台風19号で大きな被害を受けた福島県、郡山市、須賀川市を訪問し、義援金を渡し懇談したことを報告しました。
志位氏は台風・豪雨被害にかかわって3点を指摘しました。
第一は、避難所の生活改善への手だてをつくし、安心して住める場所を確保するということです。
台風19号の被害では今も約4千人の方々が避難所での生活を強いられています。
志位氏は、被災地の調査を踏まえ、避難所の生活環境の改善の内閣府「通知」が出されているが、温かい汁物の提供などが実際は行われていない場合があること、避難者から「体育館での避難生活はつらい。安心して住める場所を確保してほしい」などの声が寄せられていることを報告。「18日の調査を踏まえ、武田良太防災相に、『温かい汁物の提供などの生活環境の改善』、『借り上げアパート・住宅などの提供』を要請しました」と報告しました。
第二は、この間の豪雨や台風によって、甚大な住宅被害、農林水産業被害、中小企業被害がもたらされ、離農・廃業・過疎が深刻になる懸念があるということです。
志位氏は、「これまでの公的支援の枠組みの弾力的運用をはかるとともに、従来の枠組みにとらわれない公的支援の抜本的拡大を求めていきたい」と強調しました。
第三は、災害の背景にあると考えられる気候変動への対策の問題です。
気象庁のデータをもとに解析した研究では、40年前と比べて台風の強さが増しているとの結果が示されています。
志位氏は、「気候変動による海水温の上昇が台風の巨大化を招いている可能性がある」と指摘。国連でのグレタ・トゥンベリさんの訴えを紹介し、「気候変動の抑止に全力を尽くすべきです」と力を込めました。
その上で、世界の流れに逆行して石炭火力発電所の新設・輸出をすすめる日本政府の姿勢を批判。「『再生可能エネルギー』へのエネルギー政策の抜本的転換を政府に求めたい」と訴えました。
野党連合政権にむけた話し合いについて
続いて志位氏は「市民と野党の共闘」について話を進めました。
「この4年間、日本共産党は市民の皆さんと力をあわせて『市民と野党の共闘の前進』に取り組んできました。3回の国政選挙で重要な成果を勝ち取ってきました。安倍晋三首相にとっても脅威になっています」と切り出した志位氏。「共闘のバージョンアップが必要だとして、8月8日に、『野党連合政権をつくるための話し合いを始めよう』との呼びかけをいたしました」と報告しました。
自民党が5回の国政選挙で、比例代表での絶対得票率が連続して1割台で推移していることを指摘した志位氏。「『安倍1強』でも何でもない。議席の多数を占めた原因は、選挙制度の問題とともに投票率の低さにあります」と指摘。「『安倍政権はいや』だが投票に行かない有権者も少なくありません。投票率が1割上がったら政治が変わります。2割上がったら政権をふっ飛ばすことができます」と力を込めました。
志位氏は、「だからこそ、今度の選挙では『政権問題での合意をつくろう』と5野党・会派に呼びかけました」と語りました。「9月には、れいわ新選組の山本太郎代表と、『野党連合政権にむけて協力する』こと、17日には、社民党の又市征治党首と、『安倍政権を倒して政権交代をめざすことで協力する』ことで合意しました」と報告しました。
「ぜひ立憲民主党、国民民主党とも話し合っていきたい」と述べ、「全国津々浦々から『野党は連合政権』の声をあげてほしい」と呼びかけると、会場から大きな拍手が起こりました。
消費税、憲法、ジェンダー平等――あらゆる分野で国民の運動の発展を
志位氏は、「引き続き党本部間での話し合いに大いに力を入れていきますが、野党連合政権への道をどうやって開くのか。力を入れていきたい三つのことがあります」と、さらに続けました。
第一は、あらゆる分野で切実な要求にもとづいたたたかいを、国民的共同の力で発展させるということです。
志位氏はこの中で、消費税、憲法、ジェンダーの3点について述べました。
安倍政権による10%増税の強行に各地から怨嗟(えんさ)の声が上がっています。志位氏は、日本経済では消費が東日本大震災並みに落ち込み、世界の景気もリーマン・ショック並みに落ち込んでいることを紹介。「フランス、ドイツ、アメリカでは庶民減税が行われている。この中で日本だけが庶民増税という『逆噴射』を行った。これほど無謀な政策はない」と批判しました。
志位氏は、日本共産党が、財源確保策とともに、「消費税は廃止をめざし、緊急に5%への減税をめざす」との政策を打ち出したことを紹介。「8%に引き上げたことが不景気を招いたのですから、5%への引き下げは当然です」と強調。「先の参院選で野党は10%増税中止を公約にたたかいました。この公約を土台にして野党共闘を発展させ、5%減税が共通政策になるように力を尽くします」と表明すると、大きな拍手が起こりました。
志位氏は、安倍首相の改憲への固執ぶりを批判。「これを許さないことが大切です」と提起しました。
安倍政権が中東沖への自衛隊の派兵を計画していることにふれ、「『有志連合』に入らないというが、仮に米国がイランと戦火をまじえたら、自衛隊は一体になって動員されることになる。中東危機をつくったのはトランプ米大統領本人です。そこに自衛隊を派兵することは軍事的危機を深刻にする大きな間違いです。『米国はイラン核合意に戻れ』と主張する外交的解決の努力こそ必要です」と訴えました。
ジェンダー問題の取り組みについて、フラワーデモに参加した自身の経験を踏まえ、「勇気をもって司法、政治を変えようとする温かく素晴らしい活動が広がっています。革新懇としても連帯していきましょう」と呼びかけました。
国会共闘の発展を――現場に共同で出かけ、連帯、信頼関係がすすむ
第二は、国会での共闘を発展させることです。
志位氏は、2018年以降の国会での野党共闘の発展を紹介しました。
「野党がそろって現場に出かけることに力を入れてきました」と述べ、具体的に、沖縄の保育園・小学校への米軍ヘリの部品落下問題、秋田へのイージス・アショア配備問題、関西電力の原発マネー還流疑惑、あいちトリエンナーレでの表現の自由をめぐる問題の四つの問題を取り上げた志位氏。「共同で現場に出かけ、連帯感が生まれ、信頼関係が醸成され、共通の要求が発展しています」と語りました。
一つひとつの選挙で勝利を重ねよう
第三は、一つ一つの選挙で勝利を重ねることです。
志位氏は、埼玉県知事選挙、岩手県知事選挙で野党統一候補が勝利したことを振り返りました。この中で、岩手県で達増拓也知事が全市町村で勝利したことについて、「野党が本気で力を合わせれば、与党に圧勝することを示しました」と強調しました。
日本共産党の松本顕治党高知県常任委員が野党統一候補として擁立された11月の高知県知事選や、来年2月の京都市長選にふれ、「一つ一つの選挙に勝利し、地方政治を改革するとともに、野党連合政権の実現に道を開こう」と呼びかけました。
最後に志位氏は、野党共闘について「多様性の中の統一の立場が大事です」と提起しました。「違いがあっても相互に尊重しあい、一致点を大切にして共闘する。こうやってみんなが一つの輪に入ってくることが大事です。日本共産党は市民の皆さんと手をつないで力を尽くします。今こそ革新懇の出番です」と訴えると、会場から大きな拍手が湧き起こりました。