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2019年10月20日(日)

台風19号1週間

ごみ処理に行列

「撤去なしに先に進めない」

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(写真)福島県本宮市の災害廃棄物仮置場。住民らが投げ入れるごみを重機が積み上げます=19日、福島県本宮市

 台風19号の上陸から19日で1週間がたちました。床上・床下浸水など住宅被害は4万8000棟超に上ります。死者は79人、行方不明者は12人に。福島県本宮市では、堤防の決壊や越水で浸水し7人の犠牲者が出ました。街のいたるところで、泥水に漬かった畳や家具、布団類などが山積みになっています。民家の庭やガレージが埋め尽くされているケースも。街中を、ごみを積んだ車両が行き交います。同日、記者が現地を回りました。(安川崇)

 運動公園の一部に市が14日に開設した「災害廃棄物仮置場」。東日本大震災と原発事故の仮設住宅が昨年撤去された約1万4000平方メートルの敷地に、高さ数メートルはある廃棄物の山がいくつもできていました。山ごとに、可燃物や金属類、畳、家電製品などに分類されています。

 ごみを積んだ住民や業者の軽トラック、2トン車などがひっきりなしに到着します。20台ほどの列ができる時も。入り口で市職員が積荷を確認し、それぞれの山に誘導します。

 山の周囲には多くの重機が並び、住民らが投げ込んだごみを高く積み上げていました。ごみの臭いが漂い、ガラスが割れる音が響きます。

 市災害対策本部を所管する市民部の荒川貞伸部長は、「被害の全体像はまだ把握できていないが、市民ニーズがあるのでとりあえず仮置場を設置した」と話します。しかしどれだけの量が今後運ばれてくるのか、従来のごみ施設で処理できるのかといった見通しは立たず「まだ先は見えない」と明かします。

 市中心部近くで浸水した自宅前で、布団や畳を運び出していた男性会社員(33)。「親類の会社から車を借りられて、ようやく昨日からごみを運べるようになった。ごみを撤去できないと次の段階に進めない」と話していました。 

家修理どうすれば

片付け追われつのる不安 福島・本宮市

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(写真)床板をはがし、床下に入った泥を消毒する住民=19日、福島県本宮市

 台風19号による記録的豪雨で、堤防の決壊や越水で浸水し7人の犠牲者が出た福島県本宮市。中心部に近い舘町地区で、自宅2階の床のすぐ下まで浸水被害を受けた元会社員の男性(78)と家族が19日、恐怖の一夜を振り返りました。

 同市では12日夜、市中心部を東に流れる安達太良川が、本流の阿武隈川との合流地点近くで決壊。阿武隈川もその付近で氾濫しました。周辺には多くの住宅や商店があります。

 決壊現場では、堤防が刃物で切られたように押し流されており、コンクリートの護岸が割れて一部が宙に浮いていました。

 男性によると、舘町地区で水位が上がり始めたのは12日深夜。家族5人は2階で難を逃れました。

 妻(73)が語ります。

 「階段を1段1段、水が上がってきた。そのたびに、孫が怖がって泣いた。屋根に上がるのは難しい造りなので、2階まで水がきたらもう終わりだと本当に思った」

 13日の昼前にボートで救助されるまで、丸半日を2階で過ごしました。「トイレが使えず苦労した」

 19日、家族は片付けに追われていました。

 庭には泥水に漬かったチャイルドシートなどのごみが積まれています。応援に来た親類の男性らが床板をバールではがし、床下に積もった泥に消石灰をふりかけて消毒する作業を続けていました。自家用車も3台、浸水でだめになったといいます。

 リフォーム業者に自宅の修理の見積もりを依頼しました。「2千万円前後の可能性がある」と言われたといいます。

 「引っ越しも考えざるを得なくなるかもしれない」と語ります。「消費税が10%に上がったのも、負担に輪をかける。なんとかしてもらいたい」


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