崩落広がる　不安口々に

神奈川・箱根　共産党議員ら調査

　台風１９号で１日の総雨量が全国での観測史上最多を記録した神奈川県箱根町―。日本共産党の１８日の現地調査では、土砂崩れによる大きな傷痕が多数確認され、町民からは生活の再建への不安が口々に語られました。（神奈川県・下元怜美）

（写真）水流で護岸がえぐられマンションに迫る様子を調査する共産党議員ら＝18日、神奈川県箱根町（撮影・細川豊史）

　国道１号では、蛇骨（じゃこつ）橋で箱根登山鉄道の線路が土砂に流されて寸断され、温泉リゾート施設では、近くの沢からとみられる水が花壇から噴出し、川のように流れ込んでいる状況が確認できました。

　調査には畑野君枝衆院議員、井坂新哉、大山奈々子の両県議、加藤なを子前県議らが参加。山田和江町議の案内で、道路や観光施設、マンションの被害状況を調べました。

　リゾートマンションでは、道路を挟んだ向かいの山にある神社が半分ほど崩落。土砂がマンションに流れ込み、エントランスのガラスには折れた木が突き刺さっていました。沢の増水により護岸が大きくえぐられ、崩落部分が建物まで迫っていました。

　管理組合理事長の女性（７７）は、ごう音を立てて流れる沢を指し「普段は水がほとんど流れていないのに。崩落部分が日ごとに大きくなっている」と説明。

　「マンションも崩れるのではないかと不安です」との女性の訴えを受け、井坂県議は県の土木事務所に電話し、至急現地を確認し対策を取るよう要請しました。

　同町では、箱根山の火山活動により、２０１５～１６年の約１年間と１９年５月から、大涌谷（おおわくだに）周辺への立ち入りが規制されてきました。

　強羅（ごうら）駅前の土産物店、中村屋店主の中村雅昭さん（強羅観光協会副会長、強羅商店街会長）は「閑古鳥だよ。噴火警戒レベルが下がって、これから活気を取り戻そうって矢先だったのに」と吐息。売り上げへの影響は深刻だと語り「災害を教訓にした町づくりをしていかないと」と語りました。

　宮城野出張所（公民館）では菊池巧所長が応対し、台風の当日は町民１９人が避難しに来たと説明。敷地内の一部が、そばを流れる早川の増水でえぐられたと話しました。