2019年10月16日(水)
台風19号被害 泥まみれ でも断水 福島・相馬
「片付けも入浴もできない」
福島県相馬市では台風19号に伴う大雨で宇多川が決壊するなど市内数カ所で水があふれ、多くの住宅が濁流にのまれました。水が引いた後の土ぼこりの舞う中で、住民らが泥出しや片付けを懸命にしていました。断水が続くなどで片付けが進まず、被災者からは「とにかく水を何とかしてほしい」との声が相次いでいます。(岡素晴)
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台風が接近した12日夜に宇多川左岸が決壊し、濁流が流れ込んだ北飯渕地区。遊歩道になっていた堤防が幅20~30メートルにわたって高さ1メートル以上えぐれていました。周辺には川上から押し流されてきた無数の流木や、道路からはがれたアスファルトが散乱しています。
男性(72)は、決壊場所に近い自宅が床上約40センチほど浸水。平屋の床が一面、泥まみれになりました。ずぶぬれを免れたベッドやソファーにビニールシートを敷き、その上に身を横たえて夜を明かしていると話します。
玄関の廊下などは泥水に濡れたまま。妻(67)は「洗い出そうにも水が出ないから、どこから手を付けていいか分からない」と嘆きます。12日から入浴もできずにいるのがつらいとも。
政府の非常災害対策本部の発表(15日午前5時現在)では、同市を含む周辺3市町の断水は2万3千戸超。相馬地方広域水道企業団によると、市内の一部で泥を洗い流すなどのために水道が復旧したものの、飲料には不向きだといいます。「遅くとも今月内には、ほぼ断水を解消できると思うが、大規模な復旧工事が必要だ」といいます。
隣接する南相馬市では断水地域の被災者を対象に入浴サービスを始めています。ただ相馬市総務課は、対応に追われて現段階で予定していないとしています。
自宅が床上80センチほど水に漬かった女性(56)も、「水がないのに加え、漏電で電気も使えなくなったし、家電は水にぬれて全部だめ。親戚から水や料理を持ってきてもらって、かろうじて生活しています」と苦境を明かしました。