2019年10月10日(木)
主張
衆参代表質問
失政を正す5%減税の実行を
安倍晋三首相の所信表明演説への各党代表質問が衆参本会議で行われました。日本共産党の志位和夫委員長は衆院で、小池晃書記局長は参院で、消費税10%増税をはじめ、関西電力原発マネー疑惑など焦点課題で首相の認識をただしました。志位氏は、消費税の廃止、5%減税への緊急性、その財源について一つ一つ具体的根拠を示して質問しました。これに対し首相は、その根拠をどれも否定できません。それにもかかわらず消費税増税という経済失政を改めないのは無責任です。消費税廃止を目指すとともに、緊急に5%への減税を実現するたたかいが重要です。
家計応援のインパクト
導入31年目の消費税は日本に何をもたらしたか―。志位氏が正面から提起したのは、消費税の根本問題です。「社会保障のため」「財政再建のため」という政府の言い分は、社会保障の連続カットや国・地方の借金が激増した事実が示す通り、もはや成り立ちません。
31年間の消費税収は397兆円に上るのに対し、法人3税は298兆円、所得税などは275兆円それぞれ減収でした。大企業・富裕層の減税が繰り返された上、消費税増税による経済低迷が税収を減らした結果です。志位氏の指摘に、首相は、税収減の背景に「制度改正(減税)要因」「経済情勢の要因」があったと認めざるをえません。弱者から吸い上げ、大企業・富裕層をうるおす消費税の正体は隠しようがないことは明らかです。
この20年間、日本が世界でも異常な「経済成長できない国」になった一因に、度重なる消費税増税があることは明白です。消費税を廃止し、応能負担原則に基づく税制の民主的改革は欠かせません。
同時に、いま緊急に必要なのは、消費税の5%への減税です。2014年の5%から8%への引き上げが間違いだったことは隠せません。首相も景気回復の遅れを否定できません。8%増税を機に、消費支出も実質賃金も大きく落ち込み、5年半たったいまも回復していません。経済失政がもたらした消費不況が続いているさなかに、10%増税など無謀の極みです。失政に失政を重ねる「二重の経済失政」をただちに正すことがいま政治に求められています。
志位氏は、日本経済を成長の軌道にのせる上でも、「5%への減税」という家計応援のインパクトある政策を実行することが必要不可欠であることを提起しました。
その財源として、大企業・富裕層優遇の不公平税制を正し応分の負担を求めるなど「持てるものからきちんと税金を取る」こと、アメリカいいなりの大軍拡をやめるなど「無駄遣いを一掃する」ことを示しました。しかし、安倍首相には政策転換をする意思がありません。5%減税を急いで実現するため世論を大きく広げる時です。
痛み強いる政治変えよう
志位氏や小池氏が、関西電力の原発マネー還流疑惑について、政府として解明責任を果たせと迫っても首相は「関電任せ」の答弁に終始しました。小池氏が、先に署名された日米貿易協定は米国のトランプ政権への一方的譲歩だと追及しても、首相は根拠も示さず「国民に利益」と言うばかりです。大学学費値上げや、年金改悪についても首相は冷たい答弁です。国民に痛みと苦難を強いる政治を大本から変えることが急務です。