2019年10月5日(土)
校閲の目
のびしろ
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以前から使われていましたが、最近よく聞く「のびしろ」。紙面でも「わが党には相当の『のびしろ』がある」「のびしろを生かし飛躍を」「『のびしろ』は全国どこでも存在」などと使ってきました。
「のびしろ」が一般新聞に登場した頃は、スポーツ関連の記事で「あの選手には『のびしろ』がある」のように使われていました。大辞泉によると「平成17年(2005)前後からスポーツ界で使われ、多方面に広がった」としています。
もともとは鉄鋼業界で「金属などの、折り曲げたり熱したりする際に生ずる伸び。また、その長さ」(広辞苑)としての業界用語だったようですが、それが「今後発展・成長してゆく可能性や見込み」(同)の意味で使われてきました。
漢字では「伸び代」と書きます。「代」には代金を表す「飲み代」のほかに、何かのために取っておく部分を意味する「のり代」「縫い代」があります。「のびしろ」もこれと似た使い方ですが、国語辞書に載ったのは2005年の大辞林第3版が最初で、その後広辞苑、大辞泉など中型辞書から三省堂、明鏡、旺文社などの小型辞書にも載るようになりました。
内政・外交に行き詰まった安倍自公政権にたいして、野党連合政権に向けた共闘には大きな「のびしろ」があります。(河邑哲也)