2019年10月5日(土)
首相所信表明 改憲に異様な姿勢
消費税増税 まともな説明せず
安倍晋三首相は4日、衆参両院の本会議で所信表明演説を行いました。“令和の新時代の国創り”を強調して憲法改定を主張。「理想を議論すべき場こそ憲法審査会だ」「しっかり議論しよう」と述べ、行政府の長が立法府に改憲論議を押し付ける異様な姿勢を重ねて示しました。
1日に強行した消費税10%増税については、「影響には十分目配りする」と言うだけで、国民に5兆円もの増税を押し付けておいて、まともな説明をしませんでした。「十二分の対策」「国内消費をしっかりと下支えする」と言いながら、掲げたのは、混乱をもたらしている複数税率やプレミアム商品券、低所得者には恩恵のない自動車・住宅減税だけ。他方で、負担を増やし、給付を切り下げる「全世代型社会保障」の推進を改めて表明しました。
外交・安全保障では、相変わらず「日米同盟を基軸とする」と主張。「沖縄の皆さんの心に寄り添う」としながら、米軍基地の「辺野古への移設を進める」と明言し、県民の審判を無視しました。日米貿易協定に関しても、日本の一方的譲歩だとの批判に触れず、「日米双方にウィンウィンとなる結果を得た」と強弁しました。
関係が悪化する韓国については、「徴用工」問題を念頭に「国と国との約束を順守することを求める」の一言だけで、強硬な態度を続けました。
今国会の焦点の一つである関西電力の「原発マネー」還流疑惑には一切触れず、原発問題にも触れませんでした。
「経済最優先」を掲げる一方で、具体的な政策はありませんでした。参院選で大争点となった年金への言及もありませんでした。環境問題でも、海洋プラスチックごみ対策でのG20の成果を誇るだけで、国内的な具体的政策はなく、気候変動にも一言も触れませんでした。