2019年10月4日(金)
原発マネー還流 受注業者も金品
現金・商品券など 関電3幹部受領
吉田開発 「特命発注」で恩恵も
関西電力の幹部3氏が、高浜原発(福井県高浜町)の工事を受注していた「吉田開発」を含む2社から金品を受け取っていたことが3日、分かりました。関電は幹部らに還流した金品の原資は「分からない」としてきましたが、一部に「原発マネー」が含まれていたことが明らかになりました。(「原発」取材班)
|
高浜町元助役の森山栄治氏は、関電幹部らに金品を渡す際に、吉田開発などを同席させることもありました。
関電によると、金品を受け取っていたのは、原子力事業本部長だった豊松秀己元副社長、同本部長代理の鈴木聡常務、同副事業本部長だった大塚茂樹常務の3氏。
大塚氏は、吉田開発から現金100万円と商品券40万円分を受け取りました。豊松氏は、別の工事業者からスーツ券4着分を受領。鈴木氏も別の工事業者からスーツ券1着分を渡されていました。関電は吉田開発以外の企業名を公表していません。
関電が2日に公表した調査報告書は、現金、金貨などの金品を「森山氏等から」渡された、と記述していました。「等」について、関電は同日の会見終了後、深夜になって、吉田開発と別の工事業者だと発表。「金品の出所について分からなかった」とした報告書を事実上、訂正しました。
吉田開発は2014~18年の5年間で関電から約7億円の工事を直接受けていました。同期間にゼネコンなどの下請けの形でも約57・3億円を受注しています。
関電からの入札を経ない「特命発注工事」は、14年9月~17年12月末までに原子力事業本部と京都支社で計18件ありました。吉田開発への特命発注について調査報告書は、森山氏から高浜町の企業に発注するよう要望があった結果、「特別な理由があるとき」と判断したことをあげています。
関電から“特別扱い”で吉田開発など工事業者に渡った「原発マネー」が、関電幹部らに直接還流した形です。