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2019年10月1日(火)

重税 耐え難い

台風被災地 襲う嵐だ

農民連副会長 小倉毅さん

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(写真)農民連の産直で売るコメの前で話す小倉毅副会長

 台風15号の深刻な被害が残る千葉県の農家に、今度は、消費税と農産品の輸入自由化が襲いかかろうとしています。印旛郡栄町のコメ農家で農民運動全国連合会(農民連)の副会長・小倉毅さん(59)は「ただでさえ慢性的な高齢化と後継者不足。田んぼや畑を手放す人がどんどん増えるんじゃないか」と懸念しています。

 小倉さんは親や親戚などの田15町歩を耕作し、昨年度は、約1200万円を売り上げ、28万円ほどの消費税を納めました。コメ農家はほとんどが赤字経営です。生産費にみあう米価になっていないからです。一方、大規模農家は、飼料米(餌米)を作り国の補助金をもらっています。小倉さんは「補助金をもらうと売り上げとみなされないので、消費税の対象から免れている」といいます。

 「まるまる仕入れの消費税を払っても売り上げに乗っけられない」と渋い表情の小倉さん。機械、肥料、農薬などの購入には消費税が10%かかるのに、食料品として売る生産物は据え置いた税率の8%でしか売れません。

 ハウスの建て直し、ビニールの張り替え…。台風の被害を受けた畑作農家も設備投資は消費税が10%になる10月に入ってからになるといいます。

 コメ農家も倒れて水に漬かった稲を、無理に刈ろうとすると、泥がコンバイン(収穫機)につまり、機械を壊すこともあります。修理をするのか、新しい機械を買うのか…「もう高齢だしだれかに田んぼを預けようか」ということになりかねません。

 小倉さんは警告します。「国連は『家族農業の10年』を定めています。国はまったく逆の大規模農業を推進しています。コメの輸入量は、日本で一番多い北海道の生産量よりも多くなっています。政府はさらに上乗せしようとしています。どうなるのか不安です。消費税増税と自由化は、農業の生産基盤を崩し、食の安全を壊しかねません」


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