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2019年9月26日(木)

自宅再建 先見えぬ

「一部損壊補助 瓦屋根以外もぜひ」

千葉・鋸南町 台風15号被害

 台風15号による千葉県内の住宅被害は1万8000棟超(25日午後4時現在)に上りますが、災害救助法や被災者生活再建支援法に基づく国の支援金の給付対象となる全・半壊の判定は、全体の1割にも満たない1451棟です。同法の支援がない9割以上の一部損壊にも、住宅再建に対する支援を求める声が強まる中、県南部の鋸南(きょなん)町で住宅被害の実態を調べました。(岡素晴)


写真

(写真)屋根が破損し、応急処置のブルーシートに覆われた多くの家々=25日、千葉県鋸南町

 勝山港周辺の仁浜地区で、区長を務める男性(65)は「区内に125世帯が生活していますが、ほとんどの家が大なり小なり被害を受けています」と話し、屋根の修理でも被災者にとって重い負担が見込まれることから、行政による抜本的な支援が必要ではないかと強調します。

壁には出ない

 今回の台風被害をめぐって国は、一部損壊でも自治体が瓦屋根修理費を補助する場合、国が9割を交付金でまかなう方針を明らかにしています。

 区長は「補助があるに越したことはないけれど、飛んできた瓦が壁を突き破った被害も多い。同じ一部損壊なのに壁の修理費には補助が出ないというのはどうなのか」と疑問を呈しました。一方、瓦と業者が圧倒的に不足している現状にふれ、「支援金も大事だけど、瓦と業者の手配にも行政が動いてほしい」と語りました。

 Aさん(69)の自宅は、2階の屋根が完全に吹き飛び、1階まで大量の水が入り込み、家が住めない状態になってしまったため、妻の親類の家に身を寄せているといいます。ボランティアの支援を受けながら、家の片付けに汗を流していました。「家の再建を含め、先のことは考えないようにしている。頭がおかしくなるような気がするから」と言葉少なに語りました。

 県によると、鋸南町では半壊307棟、一部損壊1961棟に対し、全壊はいまだに判定されていません。

修理100軒待ち

 勝山港南の小さな岬に集落がある岩井袋地区でも、約120世帯のほとんどの屋根がブルーシートに覆われ、町内でも特に大きな被害を受けていました。87歳の女性は「うちは屋根の被害だけで済んで業者を探しているところ。災害の保険に入っていたからいいけど、入っていなかったら年金暮らしの上に、この年で借金するなんてできないから途方に暮れたと思います。近所の人がある業者に頼んだところ、100軒以上も修理待ちだという話を聞きました。とても年内には修理できそうにありません」と話しました。


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