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2019年9月21日(土)

台風15号 観光業直撃

行楽シーズン“予約キャンセルに”

再開へ常連客応援

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(写真)屋根が飛び、空が見える旅館の客室=20日、千葉県館山市

 首都圏に上陸した台風15号により、千葉県の房総半島南部を中心に観光業にも深刻な影響が出ています。行楽シーズンの連休が続く中、多くの旅館経営者らが営業再開を目指していますが、「見通しが立たない」と嘆く声も聞かれました。(安川崇、和田育美)

千葉・館山

 半島の南端、館山市は黒潮に乗った風が吹く温暖な土地。県によると、同市を含む安房地域には2017年、173万人の宿泊客が訪れています。

 夏の海水浴シーズンには1000人が利用する館山市の旅館「人魚の湯 海紅豆(かいこうず)」では、2棟のうち本館の屋根が飛ばされ、1階ロビーまで水浸しになりました。2階の部屋からは空が見え、天井板が崩れ落ちて折り重なっています。

 「9月の連休も予約で満室だったが、キャンセルをお願いした」。後片付けに追われる経営者の山崎攻さん(45)が語ります。「本館に風呂と厨房(ちゅうぼう)があるので、営業できない」

 本館は建て直すしかないといいますが、なじみの建設業者は台風前からの仕事が重なり、「当分は難しい」と聞かされました。保険の関係者は「建物の被害額は億単位だろう」と語ったといいます。山崎さんは「併設するキャンプ場だけでも早く再開できれば」と語ります。

 館山市で愛犬と宿泊できる「わん楽」を家族で営む浅沼美帆さんは、「足場を組んでの屋根の修理工事を、27日にようやく始められることになった」と話します。

 瓦屋根が剥がれ、2階部分の窓は割れました。「明日からは雨の予報。また水もれが大変」と肩を落とします。

 ひどい雨漏りのため壁紙も張り替えが必要ですが、内装業者はまだ見つかりません。応急処置として室内にブルーシートを張っています。被害情報が客に届いておらず、電話でキャンセルを頼むと「そんなにひどいんですか」と驚かれたといいます。

 「常連のお客さんが掃除を手伝ったり、頑張ってとあたたかい言葉をくれたりした。本当にありがたい」

 営業を再開した施設も、被害を抱えます。16日に再開した館山市の旅館。60代の女性経営者は「キャンセルなどで、売上額が1000万円近く減るのでは」といいます。

 館山市観光協会の醍醐敏明事務局長によると、営業再開が来月以降にずれ込む見通しの宿泊施設は、20日時点で全体の約3分の1にあたる21件。一方で、現在も観光客から「宿を予約したい」という電話がかかるといいます。

 「観光で支えられる地域なので、来ていただけるのは歓迎。利用できる施設の情報を提供する。同時に、被害の大きい施設の復旧を支えたい」


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