2019年9月16日(月)
第7回中央委員会総会
志位委員長のあいさつ
日本共産党の志位和夫委員長が15日の第7回中央委員会総会の開会にあたって行ったあいさつは次の通りです。
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中央役員のみなさん、インターネット中継をご覧の全国のみなさん、おはようございます。私は、幹部会を代表してあいさつを行います。
冒頭、台風・豪雨被害にあわれた方々に心からのお見舞いを申し上げます。党として対策本部をたちあげ、現地にうかがい、一刻も早い停電復旧をはじめ、被災者の方々が安心した生活を取り戻せるようあらゆる措置をとることを、政府や自治体に求めています。党自身としても可能な支援を行ってきましたが、引き続き全力をつくす決意であります。
第7回中央委員会総会の任務は、第28回党大会を招集すること、および7中総として当面の党活動の指針となる決議を決定することにあります。
提案されている7中総の決議案は、三つの重要な内容を提起しています。第一は、「参議院選挙で確信にすべきことと、打開すべきこと」、第二は、「来たるべき総選挙に、どういう目標と構えでのぞむのか」、第三は、「『第28回党大会成功をめざす党勢拡大大運動』のよびかけ」であります。小池書記局長が提案報告を行います。
私は、若干の問題について発言しておきたいと思います。
野党連合政権について
一つは、野党連合政権についてであります。
私は、8月8日に行った日本共産党創立97周年記念講演で、市民と野党の共闘の4年間の成果を概括し、野党各党に対して、野党連合政権にむけた話し合いを開始することを呼びかけました。
こうした呼びかけを行ったのは、4年間の共闘の到達を踏まえ、ここで野党としての力づよい政権構想を打ち出すことが、今後の共闘の発展・飛躍をかちとるためにどうしても必要であり、またそれは、日本国民と日本社会が求めていることだと考えたからであります。それは直面する選挙が政権を争う総選挙であるという点からも待ったなしの課題となっています。
記念講演を踏まえ、この間、日本共産党として、参議院選挙をともにたたかった5野党・会派に、この問題での党首会談の開催を申し入れてきました。
9月12日、れいわ新選組の山本太郎代表との党首会談が実現しました。次の三つの点で、重要な合意を確認しました。
第一は、両党が、野党連合政権をつくるために協力するということです。そのさい、野党と「市民連合」との13項目の政策合意を土台にすることを確認しました。
第二は、安倍政権が進めようとしている9条改憲に反対することです。
第三は、消費税については以下の点で協力していくことを合意しました。
一つは、消費税10%増税の中止を最後まで求める。
二つは、消費税廃止を目標とする。
三つは、廃止にむかう道筋、財源などについて協議していく。
四つは、消費税問題での野党共闘の発展のために努力する。
以上が、党首会談での合意内容であります。
党首会談で、私が野党連合政権について提案をしたのに対し、山本代表は、「有権者のみなさんに、政権交代すればどのような世の中になるのかということをイメージしてもらうために、こういった話し合いは一刻も早く進めるべき」とのべ、両党で協力していくことが合意されたことは、野党連合政権に向けた最初の一歩を踏み出したものとして、たいへんにうれしいことであります。
他の野党のみなさんとも、今後、話し合いがすすんでいくことを心から期待しております。
私は、政権問題での協議では、三つの点が大切になると考えています。
一つは、政権をともにする政治的合意です。その意志を確認することです。
二つ目は、「市民連合」とかわした13項目の政策合意を土台に、連合政権が実行する共通の政策を練り上げることです。そのさい、連合政権として各党の不一致点にどう対応するかの合意も必要になるでしょう。
三つ目は、小選挙区における選挙協力の合意です。
この三つの点を一体に話し合っていきたいと思います。そのさい、一つ目の点――政治的合意、二つ目の点――共通政策でどれだけの合意が達成できるかは、三つ目の選挙協力の度合いを左右することになると考えています。
そもそも国政選挙での選挙協力は、協力するからには国会での多数を獲得することを目指すわけであり、多数を獲得すれば当然、政権を担う責任が生まれるわけですから、連合政権をつくる――政権をともにするという覚悟を決めてやることが本来のあり方であります。そうしてこそ選挙協力でも最大の力を発揮することができるということを、私は強調したいと思うのであります。
私たちは、野党としての政権構想をとりまとめるための話し合いを実らせるために、知恵と力をつくす決意であります。全国の都道府県・地区・支部でも、記念講演も活用していただいて、ともにたたかった市民や野党のみなさんと語り合い、全国各地から、野党連合政権をつくろうという機運をつくりだしていただくことを訴えるものです。
安倍政治の破綻はいよいよ目を覆うばかりです。無謀きわまる消費税10%増税への暴走、日韓関係の悪化をはじめ八方ふさがりの外交、選挙の審判を無視した9条改憲への暴走など、内政も外交も行き詰まりはいよいよ深刻であります。戦後最悪の反動政権を一刻も早く終わりにしなければなりません。
全党のみなさん、来たるべき総選挙を、市民と野党の共闘の勝利、日本共産党の躍進で、安倍政権と自民党政治を終わらせ、野党連合政権に道を開く選挙にしていくために全力をあげようではありませんか。
第28回党大会の招集と議題について
次に、第28回党大会の招集と議題について提案します。
党規約第19条は、党大会は、「二年または三年のあいだに一回ひらく」としています。党規約にもとづき、招集の提案を行います。
招集日は2020年1月14日(火)、会期は18日(土)までの5日間とします。議題は、(1)党綱領の一部改定、(2)大会決議と中央委員会報告、(3)新中央委員会の選出、(4)その他――とします。
党綱領の一部改定についてのべますと、2004年に改定された現綱領は、15年の内外情勢の大激動のなかで、全体として豊かな生命力を発揮しています。いよいよ綱領で掲げた民主的改革の課題を実行に移す時代がやってきたと思います。今回の改定は、綱領第三章――世界情勢論を中心に行い、それとの関係で第五章――未来社会論の一部の改定を行うという限定的な改定を考えています。
大会決議と中央委員会報告は、二つの大きな課題について前途を明らかにするものとしたいと思います。
第一は、野党連合政権の実現を大目標にすえ、内外情勢と党の任務を解明し、共闘の発展方向、日本共産党躍進の方針を太く明らかにすることです。
第二は、この任務を支える強く大きな党をいかにしてつくり、世代的継承をいかにしてはかるかについて、全国のとりくみから教訓を引き出し、今後の方針を明らかにすることであります。
以上が提案であります。
第28回党大会は、日本共産党にとっても、日本の政治にとっても、歴史的意義をもつ大会となります。全党の力で来たるべき党大会を必ず成功させることを、心から訴えるものであります。
「第28回党大会成功をめざす党勢拡大大運動」について
最後にのべたいのは、「第28回党大会成功をめざす党勢拡大大運動」についてです。くわしくは決議案と提案報告で明らかにしていきますが、私は、一点だけ強調したいと思います。
それは決議案が、「大運動」の目標として、党員拡大でも「しんぶん赤旗」読者拡大でも、「前大会時の回復・突破」を目標にすることを提案していることについてであります。この目標は、端的にいえば、「この大会期を、党勢の面でも後退から前進に転換する大会期にしよう」という目標です。
私が、強調したいのは、この目標が、この間の党勢の歴史的推移にてらしても、きわめて重要な死活的意義をもつ、そして大志ある目標だということであります。
ここで、党建設の現状を歴史的視野で見てみたいと思います。党員でも、読者でも、わが党の党勢は、1980年ごろをピークにして、残念ながら長期にわたって後退傾向が続いてきました。党員は、50万人近くから、現時点は約28万人です。「しんぶん赤旗」読者は、1980年のピークは355万人でしたが、現時点は100万人を割っています。
その原因はどこにあるでしょうか。「努力が足らなかったから」と単純には言えません。この間、全党のみなさんは、党建設・党勢拡大に、最大の力、最大のエネルギーを注ぎ、努力されてきました。私は、困難のなかでコツコツと党をつくり、日々、支えてこられた全国の同志のみなさんに、心からの敬意と感謝を申し上げたいと思います。
しかし、残念ながら前進をつくれていません。主体的な活動の問題点もありました。その都度自己分析と方針の発展も行ってきました。同時に、わが党をとりまく客観的条件の問題がありました。そのなかでも最大の問題は、1980年の「社公合意」によって「日本共産党を除く」という「壁」がつくられたことであります。
わが党は、1961年の綱領路線確定後、1960年代、70年代に、「安保共闘」や全国に広がった革新自治体など、統一戦線の発展に力をつくし、それと一体に職場、地域、学園に党をつくっていきました。そうした統一戦線の流れが「社公合意」で断ち切られました。その否定的な影響はきわめて大きいものがありました。職場や若い世代のなかでの党づくりは、とくに厳しい困難にさらされました。
しかし、いま情勢の大きな変化が起こっているではありませんか。
この4年間で何より大切なのは、「日本共産党を除く」という「壁」が崩壊したということにあります。新しい共闘の時代が始まりました。私たちは、3度にわたる国政選挙での全国的規模での選挙協力という、党史でもかつてない新しい事業にとりくんできました。共闘を通じて、新しい友人、新しい絆、新しい信頼が間違いなく広がっています。党と国民との関係も大きく変化しています。かつては日本共産党といいますと、「孤立している」「独善的」「力がない」などの声もありました。しかし、いまでは、わが党への見方も、大きく変わってきているのではないでしょうか。
「決議案」がのべているように、党勢という面でも、世代的継承という面でも、現状は率直にいって危機的であります。それは全国の同志のみなさんが痛いほど感じておられることだと思います。同時に、それを前向きに打開するかつてない歴史的可能性も間違いなく存在する。危機と可能性の両方があるのであります。
可能性という点で、別の角度から、もう一つ数字を紹介したいと思います。党勢がピークだった1980年の衆参ダブル選挙での、わが党の参院全国区での得票は407万票、得票率は7・3%でした。今年の参院比例区での得票は448万票、得票率は8・95%です。党勢は後退させましたが、得票率は伸ばしているのであります。日曜版読者1人当たりの得票は、1980年の参院選は1・65票だったのが、今年の参院選は5・49票になっています。
すなわち党勢と比較しての党の政治的影響力は、はるかに大きくなっているのであります。言い換えれば党勢拡大の巨大な客観的条件が存在している。これは全党のみなさんの努力のたまものであり、ここに大いに確信をもとうではありませんか。このチャンスを生かそうではありませんか。この歴史的可能性に最大限働きかけて、何としても党勢拡大で後退から前進に転じようではありませんか。
「そうはいっても簡単にいかない」という声もあると思います。「大運動」の目標達成が容易でない大仕事であることは事実であります。どうやってこれを成功させるかは探求・開拓の課題です。実践を通じて一つひとつ打開していきたい。
ただ、たしかな手がかりはあります。それは、第27回大会決定が打ち出した党建設の法則的発展の方針――「地区委員会活動の四つの教訓」「楽しく元気の出る支部会議の定着」などであります。全党の経験と知恵でつくりだされたこれらの方針をしっかりとすえ、ともに探求・開拓していきたいと思います。
そのさい、私たち中央の姿勢として、決議案も提案しているように、すべての中央役員が、県、地区、支部に足を運び、ともに議論し、ともに行動し、中央と地方が一体になって前進の道を開いていく――そういう姿勢と決意でこの運動にのぞもうではありませんか。
3年前の第27回党大会決議は、開始された市民と野党の共闘について、「日本の政治の新しい時代が始まった」と特徴づけました。全党のみなさん、あと4カ月半の奮闘で、この大会期を、党建設・党勢拡大の面でも「新しい時代が始まった」と締めくくれる大会期にしようではありませんか。
「第28回党大会成功をめざす党勢拡大大運動」をみんなの力で必ず成功させることを心から訴えて、あいさつといたします。