2019年9月14日(土)
志位委員長・山本代表の共同会見
日本共産党の志位和夫委員長と「れいわ新選組」の山本太郎代表との党首会談が12日国会内で行われました。両氏は会談後、共同記者会見を開き、記者の質問に答えました。その冒頭の発言と、一問一答の要旨を紹介します。
冒頭発言
共産・志位和夫委員長
「野党連合政権にむけ大事な合意が確認できた」
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ただいま、れいわ新選組の山本太郎代表と党首会談を開きました。
まず、私は、冒頭、台風15号で被災された国民のみなさんに心からのお見舞いを申し上げるとともに、政府と東京電力に一刻も早い復旧、住民の方々の命と健康を守るための万全の措置をとることを求めたいと思います。
今日の会談では、いくつかの大事な合意ができました。つぎの3点を、山本代表と合意しました。
第一は、野党連合政権をつくるために協力するということです。私たちは、この間、3回の国政選挙で野党共闘をやってきたわけですが、その到達のうえにたって、次の総選挙は、野党連合政権をつくる――政権構想を野党が示してたたかおうということを呼びかけさせていただいていますが、この点について両党が協力して政権をつくっていこうという合意ができました。たいへんに大事な合意だと思っています。そのさい、この間、野党(5野党・会派)は市民連合のみなさんと13項目の政策合意を結んでいます。これを土台にして(連合)政権をつくっていこうということを確認しました。
第二は、安倍政権が進めようとしている9条改憲に反対する。これは13項目の中に入っていますが、いま安倍首相が、内閣改造後の第一声で何が何でも9条改憲やるといっていますので、私たちも断固としてこれには反対ということを確認しました。
第三は、消費税の問題です。消費税については、以下の点で両党が協力することで合意しました。
その第一点は、消費税10%増税の中止を最後まで求めるということです。私たちはあきらめないで、最後の最後まで増税の中止を求めます。そのたたかいをやってこそ次につながる。これは、最後まで頑張り抜こうということを確認しました。
第二点は、消費税廃止を目標にするということです。日本共産党は、30年前に消費税が導入されて以来、これまで消費税廃止を一貫して求めてきました。ただ、増税とのたたかいが繰り返しありましたので、増税中止という一致点を大事にしてたたかいながら、廃止を求めるという立場でたたかってきました。
ただ、(導入から)30年たって、この税金はいよいよ廃止しなければならない。とくに、貧困と格差を拡大する、景気と経済を壊す、そして結局、消費税は大企業減税、富裕層減税の穴埋めに使われた。これらの点からしても、いよいよ廃止の旗を高く掲げることが大事だと考えました。
そういうときに、れいわ新選組が、消費税廃止という旗を掲げて誕生した。私は、消費税廃止を掲げる政党が新たに誕生したことを心から歓迎しています。両党で、(消費税)廃止という大目標で合意ができたのはうれしいことです。
第三点は、(消費税)廃止に向かう道筋、財源について協議していくということです。廃止に向けた道筋はいくつかあります。一つは、税率を(一律に)下げていくという方法、もう一つは、食料品やライフライン(水光熱費)などの部分について消費税を廃止し、廃止の部分を広げていく。いろいろなやり方があります。そのいろいろな道筋、財源については、国民から歓迎され、政策として合理性と説得力のある内容を協議していこうと合意しました。
第四点は、消費税問題での野党共闘発展のために努力しようということを確認しました。野党共闘をすすめてきて、いま野党は、10%反対では一致してそれを求めています。その到達点を大事にしながら、両党だけでは政権をとるわけにはいかないので、野党みんなでまとまって政権を担い、消費税の問題も解決することを考えれば、消費税問題でも野党共闘の発展のために努力していこうという一致点を確認しました。
とてもいい党首会談になったと思っています。
れいわ・山本太郎代表
「このような話し合いは一刻も早く進めるべき」
れいわ新選組の山本太郎です。私からも、台風15号で災害に遭われたみなさま、そして自治体、復旧に向けて活動されるみなさまに対して、一刻も早く政府が大きな力を投入していただけるようにお願いを申しあげたいと思います。
今回、共産党さんの方から、このような連合政権に向けての話し合い、それをまず(野党各党と)順番にしていきたいんだというご提案を受けまして、それでは私たちはさっそくお話をお聞きしますということで、このような会を持っていただきました。
はっきり言って選挙いつあるか分かりません。ひょっとしたら年内に解散するかもしれません。すべての判断は官邸側にあるわけですから、残念ながら。でも、どのタイミングで解散が打たれてもいいように、私たちは有権者のみなさん、この国に生きる人々に、政権交代をすればどのような世の中になるのかということをイメージしてもらうためにも、こういった話し合いは一刻も早く進めるべきだという考えです。そういう意味で、一番小回りがきくといいますか、れいわ新選組がまず最初に、この連合政権、その話し合いというところに参加をさせていただいたということです。
そのなかでも消費税、非常に大きな部分です。確実に消費税をあげるたびにこの国は壊れてきた。少なくとも、この国に生きる人々の生活は壊されてきたという状況があります。みなさんもご存じの通り、97年に5%に上がったさい、その翌年からは本格的なデフレ、このさいには世界の通貨危機に伴って本当に多くの方々が傷つけられた。実際に命を落とされた、自ら命を絶ったという人もおられるぐらいです。もちろん2014年に8%に上がったさいにも個人消費というのはリーマン・ショックの時よりも上回る減り具合、大打撃ですね。その際にはアメリカ経済、中国経済という後ろ盾があったという部分もあると思います。しかし、今回はそのような後ろ盾がないまま10%に突き進むというのは、はっきり言って国の自殺行為だと、そのように思います。
私たちは選挙のときは当然廃止を訴えてまいりましたけど、野党全体として10%の中止を求めるということに関しては、全くこれは矛盾しないことだと考えております。その中で、さらに消費税廃止を目指したうえで、どういうふうに減税していけるかということを、財源の部分であるとか、数々の部分に関して協議を始めるということに関しては、一刻も早くやった方がいいだろうと。それに対して、このような機会を設けていただいた共産党さんには、本当にお礼を言いたいと思います。ありがとうございます。
記者団との一問一答から
消費税5%への引き下げ
「『10%中止』を前提に具体的な話し合いを」(山本氏)
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――山本代表は、これまで野党共闘の条件に消費税5%(への引き下げ)をあげていました。その考え方は変わったのでしょうか。
山本 この先、衆院選挙になった場合に、私たちが野党と一緒にたたかえるかどうかに関して、消費税5%という提案というか、線引きをしたことがあります。それは変わりません。
ただ、それは私たちだけで言っていても話し合いは前に進まないので、具体的に、まずは10%中止は当然という前提に立った上で、5%に下げるための具体的・合理的な話し合いをまず進めることに対して、私は賛成する立場です。
野党の共通政策
「消費税問題では合意した4点で最大限努力したい」(志位氏)
――志位委員長が参院選後に政権・政策協議を各党に呼びかけ、今回、党首として初めて山本代表が応じました。(5野党・会派と市民連合が合意した)共通政策が13項目ありますが、そのうち旗が二つで消費税と9条改憲(反対)だと。この大きなところで、これからお二人で各党にもう一回政権・政策協議を呼びかけていくという理解で良いでしょうか。
志位 13項目というのはかなり包括的です。たとえば沖縄の辺野古の問題や原発の問題も入っています。山本代表とは、13項目は当然合意できる内容だと確認しました。野党全体の政権構想の協議の土台になるのは、やはり13項目だと考えております。
そのうえで、消費税についてどうするかというのは、野党としても共通の方策をもつ必要があるだろうと思います。
10%への増税が迫っています。これについては、最後まで10%への増税を許さないために野党は頑張る。これは野党の参院選公約ですから当然です。さらにその先の展望をどういうふうに描いていくのかが野党に問われてくると思います。今日、私たちとしては、消費税問題で4点の大事な合意ができたので、私たちとしては最大限、そういう方向に近づくように努力するということです。
現時点で、野党連合政権の話し合いが始まったのは「れいわ」さんとの関係だけです。お声かけさせていただいた他の野党とは、おそらく順次進むだろうと思っております。その時に、まず13項目(を土台)で政権をつくろうという政治的合意が得られるかどうか。得られたとしたら政策をどうするかということになると思います。その時に消費税の問題は、私たちとしてはこういう主張をしていくと(いうことです)。「れいわ」さんも、その時にはそういう主張を一緒にするということに多分なるのだろうと思っています。
衆院選での選挙協力
「政権合意、政策合意と一体に話し合いを進めたい」(志位氏)
「野党は力をあわせ話し合いを始めなければ」(山本氏)
――小選挙区での候補者調整など、衆院選の選挙協力については今日は話をしたのでしょうか。
志位 今日はそこまで話をしておりません。ただ、私たちの考えとしては、野党連合政権をつくると言った場合は、政権をともにするという(政治的)合意が必要だろうと(思います)。それから、その政権が何を実行するか、政策の合意が必要だろうと(思います)。そのさいに、政策の不一致点について政権としてどう対応するかも含めて政策合意が必要になります。そして、三つ目に、選挙協力の合意が必要になってくるでしょう。
連合政権の(政治的)合意、その政権が取り組む政策の合意、それと一体に選挙協力の話し合いも進めていければというのが私たちの考え方です。
――今日は話していないけれども、選挙協力についても今後話していこうというのも合意に含まれるという理解でいいでしょうか。
志位 私は当然だと思います。
山本 はい。当然だと思います。選挙区の調整ということで、これまでの選挙協力は終わってきたわけです。でもそれだけでは、やっぱりひっくり返せないですから。有権者のみなさん、この国に生きる人々に対して、野党が力を合わせて政権交代した場合にはこういう未来が見られるよということを、もう話し始めなければいけないということです。
志位 今まさに山本さんが言った通りだと思います。
これまで3回、国政選挙で選挙協力やってきました。しかし、政権の合意がありませんでした。野党共闘は成果をあげてきたけれども、さらにステップアップしようと思ったら、こういう内容で政権をつくりますよと、これが伝わってこそ、本当の野党共闘の力を発揮することができます。そう考えて野党連合政権構想の話し合いの開始を呼びかけさせていただきましたが、今日は「れいわ」さんとこういう合意が得られたことを本当に喜んでおります。私は画期的な一歩だと考えております。
9条改憲
「安倍首相が進めている9条改憲に反対で一致」(志位氏)
「ブレーキをかけなければ、で完全に一致」(山本氏)
――9条改憲反対を重視することで一致したということですが、これは自民党の9条改憲案に反対ということですか。それともたとえば武力行使に制約を設けるというような、ちまたで言われる「立憲的改憲」も含めて一字たりとも変えないという趣旨で合意したのですか。
志位 私と山本さんの理解はそれぞれだと思います。ただ、いま安倍首相が言っている9条改憲に反対する。これは一致ではないか。共産党はそもそも9条改憲は必要がないし、反対だという立場ですが、(合意内容では)「安倍政権が進めようとしている9条改憲に反対する」としております。このやり方は反対だと。今日の合意はそういう内容だと思います。
山本 いま志位委員長が言われた通りの話ですけれども、逆に、私たちの立場としては一言一句変えてはならないという立場ではないです。
たとえば2015年の安保法の時に、あれはもう完全に憲法を無視した形で立法されました。手続き上は、憲法を変えなければできるはずがないのに、それを飛び越えてしまった。このような詐欺的行為によってこの国がゆがめられていくということを考えるならば、先々その歯止めという部分を憲法で何かしら考える必要があるかもしれないという考え方は持っています。
でもこの「安倍政権の改憲」に関しては、それはブレーキをかけなければならないという部分に関しては完全に一致です。
志位 いま山本さんの言われた点は、野党のなかにもいろんな意見があると思います。そこはそれぞれの意見があっても、今やられている「安倍改憲はだめだ」というところで結束することが大事だと思います。
「れいわ」の衆院選候補擁立
「野党が手をくみ政権交代を一刻も早く進めることを先に」(山本氏)
――山本代表は、以前、次期衆院選では100人擁立する考えを示していましたが、共産党と連携する場合は100人擁立できない場合もあるかと思うのですが。
山本 100人擁立することになるかならないかは、究極は何かと言うと、単独でたたかうのか、たたかわないのかということになるのです。
単独でやるのなら100人は立てなきゃならないねという話ですが、少なくともこの連合政権という構想の下に各党がテーブルに着き、話し合いを進めていく、深めていくことが前提となるならば、これは恐らく、ここは私たちはお譲りしますとか、ここを譲っていただけませんかというような話し合いをもとに、じゃあその先どういう世の中をつくっていくのかというところまで行き着くと思います。
なので、単独でやることになったら、100人立てなければならない状況になる可能性はある。ただし、そこまでやってしまうと、これは政権交代からやはり遠のいてしまう可能性がありますから、やっぱり今考えるべきは、野党側が手を組んで政権交代を一刻も早く進めるということを先に持ってくることが、私は順序として正しいのではないかと。だから今回、この連合政権というお話をいただいたときに、ぜひテーブルに着かせてくださいということになりました。
「野党連合政権」の名称
「各党の相談で決まっていけばいい」(志位氏)
「次は私たちの番だ、と押し出されるようなものを」(山本氏)
――野党連合政権という名称を使っていると、万年野党というか、国民に本気度が伝わらないのでは。もっと国民に伝わるキャッチコピーを付けるとしたらどういうものがいいか。
志位 私たちは議席数からいいましたら野党第3党ですから、その立場でこういう呼びかけをさせていただいているので、あまり固有名詞的な名前は言わないで、(「野党連合政権」と)普通名詞的な名前を使っているんです。以前は「国民連合政府」と言ったことがあったのですけれども、やはりそうしますと“共産党の提案だね”ということになります。そういうことでなくて「みんなでつくる政権だ」と。だから特定の名前をつけないということで、普通名詞でやっております。
山本 いま言われてハッとしたという部分ですね。ありがとうございます。シンプルに「次の構想政権」とかでも良いかもしれないし、「次の政権プロジェクト」とか、次は私たちの番だということが前に押し出されるような。それもまた、各党が集まってきたところでいろいろ話をしていければと。
志位 (それが)いいんじゃないですかね。ですからそれも含めて、ネーミングは、一応、普通名詞をあてているのですが、それを固有名詞にしていくのは相談で決まっていけばいいのではないでしょうか。
共産党と組むことについて
「舩後、木村両議員の誕生。一番手を差し伸べてくださったのは共産党さん」(山本氏)
――「れいわ」の舩後さん、木村さんの活動というのは非常にハンディキャップがあるわけですね。これからの活動の中で共産党のノウハウなども取り入れて形のあるものにしたいなど、共産党と組むことの意味などをもう少し聞かせてください。みなさんよりも大きい政党がぐだぐだして、最も小さなところからいくというのは逆だと思うんですけど、こういった状況に関する危機感というものはありますか。
山本 先の選挙(参院選)が終わった後、舩後靖彦、木村英子という議員が誕生し、そのさいにはまだ初登院も終えていませんから、議員の部屋もなかったんです。それでたとえば、森ゆう子さんに議員会館の部屋を押さえてもらったりしながら、いろいろ動いていたりしたのですが、そのなかではっきり言って一番手を差し伸べてくれたのは誰かというと、共産党さんなんですよ。
たとえば、議院運営委員会に委員ももっていますし、必要なことがあれば議運委員としても言えるからということで、省庁のレクチャーをセッティングしていただいたり。根強い人気がある理由が分かりました。助けられる側になって。国会内外でもですけど。
でも、そこでお世話になったからといって、今回この会談をオーケーしたということではないです(笑い)。そこは全く関係ない話ですが、“重度障害のある議員が2人誕生したんだから、国会自体が変わっていかないとだめだよね”ということで、実際に一番手を差し伸べてくださったのは、共産党さんであるということを私は言いたいです。
野党連合政権の呼びかけ
「野党共闘の成果を踏まえ、バージョンアップがどうしても必要と考えた」(志位氏)
――みなさんよりも大きな政党が組めないという問題への危機感があってこういった会談ができたのかをおうかがいしたいです。
志位 いえ、危機感というよりも、私たちの呼びかけの動機は、16年参院選、17年総選挙、19年参院選と、3回の国政選挙を野党共闘でたたかいました。この成果は上がったと思っています。今年の選挙でも、10の1人区で勝ちました。成果はたしかに上がりました。しかし、ここで(野党共闘を)バージョンアップしなければならないという思いなんです。
つまり、「本気で野党が政権とるぞ」ということが国民に伝わらないと、政権に批判を持っていても棄権を選んでしまう場合もあるでしょう。やはり私たちの本気度が伝わるところにバージョンアップしなければならないという気持ちを強く持っています。
それをやるには政権合意をしなくてはなりません。「こういう政権をつくります、本気でやります」、「だから力を貸してください、一緒にやりましょう」という呼びかけが今どうしても必要だろうという思いで、呼びかけています。
たぶん、立憲民主党にしても、国民民主党にしても、同じ問題意識を持っている方はおられると思います。これまで、一緒に力を合わせてやってきたわけですから、今後もさらに力を合わせて、協力をしていきたいという思いです。
消費税5%への引き下げ
「一つの選択肢。廃止への道筋、財源を協議していこうということが確認事項」(志位氏)
――山本代表は他の野党との共闘の最低条件として、消費税5%への引き下げと言っていますが、共産党としてはこれまで具体的な数字は示してきていないけれど、消費税5%が野党共闘の最低条件という認識でよろしいですか。
志位 他の野党との関係(で最低条件)というよりも、両党として、(消費税)廃止の目標を確認したということです。そこにいたる道筋、財源にかんしても協議していこうということも確認しました。その道筋については、税率を下げる方法もあるでしょうし、税率ゼロの部分を(つくり)広げていくということもあるでしょうし、いろんなやり方を検討してみよう、協議していこうということが今日の確認事項です。
私たちとして、消費税5%への減税は一つの選択肢だと思っております。それも含めて協議していきたいという考えです。