2019年9月4日(水)
消費税10月増税 中止しかない訳
業者は混乱 家計は破綻 商店街の声は
安倍晋三政権が狙う10%への消費税増税まで1カ月を切りました。日本共産党が各地で取り組んでいる宣伝には、「8%でも大変なのに10%なんてとんでもない」などの怒りの声が寄せられています。国民の所得、消費が低迷し、世界経済の先行きにも暗雲が漂っています。今からでも、消費税増税は中止すべきです。(清水渡、増田哲明)
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東京都杉並区の商店街―。消費税増税を目前にして、業者から不安の声が出されています。
「複数税率とかキャッシュレス決済とか、とにかく複雑で分からない」。こうこぼすのは、商店街の魚屋さん。「増税は、買う身になれば負担が大きい。ないほうがいいに決まっている」といいます。
カバン店の店員は、「増税直後は落ちるだろう」と、売り上げへの影響が心配です。キャッシュレス決済は導入済み。しかし、クレジットカード決済にかかる手数料負担も大きい。「増税した分がちゃんと使われるか分からない」と、安倍政権への怒りをあらわにしました。
煩雑な税率
日本財団が17歳~19歳を対象に行った消費税についてのアンケート調査には、「10%は厳しい。高すぎる」「給料は上がらないのに、税金だけが上がるので、家計が苦しくなる」などの声が寄せられています。
消費税増税への怒りに対して、安倍政権は「経済対策」を打ち出しています。しかし「対策」そのものが混乱を招いています。低所得者対策として「軽減税率」を導入するといいます。しかし、食料品にかかる税率を8%に据え置くだけで「軽減」とはとてもいえません。
しかも、酒類と外食は対象外としたので、混乱は必至。例えば、ハンバーガー店で、セットメニューを店内飲食で注文し、ドリンクだけを持ち帰った場合、ドリンク含めて10%の税率です。一方、ハンバーガーとドリンクをそれぞれ注文し、店内ではハンバーガーのみを食べ、ドリンクは持ち帰ると表明した場合には、ハンバーガー10%、ドリンク8%です。また、ノンアルコール飲料は8%ですが、調味料のみりんは10%です。
準備も遅れ
準備も遅れています。日本商工会議所が5~6月に行った調査では、軽減税率対応レジは、年間売上高5000万円以下の小規模な小売店の4分の1しか対応が終わっていません。中小企業庁は、レジ導入への補助金申請を最大30万件と見込んでいます。8月末時点では12・6万件の申請しか出ていません。
安倍政権は「経済対策」で、「いただいたものはすべてお返しする」と繰り返しています。しかし、消費税で国民からむしり取っていて、返すのであれば最初から消費税を上げなければいいのです。
国内 賃金下落で消費低迷
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国内消費は低迷しています。8月30日に発表された7月の商業動態統計調査(速報)によると、卸売・小売合わせた商業販売は前年同月比1・7%の減少でした。商業販売が前年同月を下回るのは8カ月連続です。業態別に見ても、百貨店は9カ月連続、スーパーは4カ月連続で前年同月を下回りました。
安倍政権が14年4月に強行した8%への消費税増税から家計消費が落ち込んだままです。直近1年平均の家計消費は消費税増税前となる13年平均を年換算で20万円も下回っています。
賃金も低迷しています。経済協力開発機構(OECD)の調査によると、日本の賃金を時間当たりで見ると、過去21年間で8%減少しています。主要国では唯一のマイナスです。賃金は足元でも下落。6月の毎月勤労統計では実質賃金が前年同月比0・5%減少しました。実質賃金が前年同月を下回るのは6カ月連続です。
海外 暗雲立ち込める経済
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トランプ米政権は1日、中国に対する追加関税第4弾のうち、中国からの輸入品約12兆円分に15%の追加関税を課しました。米中の2大経済大国による経済摩擦の激化は世界市場の不確実性を高めています。日本経済にも輸出を中心に悪影響を与えています。
政府は8月の月例経済報告で、世界経済について「一部に弱い動きがみられる」と警戒感を強めています。中国などアジア向け輸出の弱さが目立ちます。自動車の輸出も鈍化しています。
米中貿易摩擦を受け、4~6月期の法人企業統計では、製造業の経常利益は27・9%減でした。製造業の売上高は1・2%減、設備投資は6・9%減でした。
日本商工会議所が8月30日に発表した8月の早期景気観測によると、業況DI(指数)はマイナス21と、前月を0・8ポイント下回りました。調査には日韓情勢の影響による観光客の減少を指摘する声が寄せられています。日本商工会議所は、米中貿易摩擦や世界経済の先行き不透明感が製造業を中心に広く業況の押し下げ要因となっていると指摘します。
英国の欧州連合(EU)離脱なども控えており、さらなる海外経済の悪化が見込まれます。
この状況で消費税増税を強行すれば、国民生活にも日本と世界の経済にも悪影響と混乱をもたらすことは必至です。今からでも消費税増税を中止すべきです。