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2019年9月2日(月)

主張

安倍「隠ぺい」政治

国会で重要課題の審議不可欠

 7月の参院選のあと、日米貿易交渉での日本の一方的な譲歩、日韓関係の深刻化、中東・ホルムズ海峡での「有志連合」参加問題など、国政上の大きな課題が次々と浮上しています。それにもかかわらず安倍晋三政権は、参院選後の8月上旬に短い臨時国会を開いたものの、10月の国会まで審議を行おうとしません。「国権の最高機関」の国会や主権者・国民に説明しようともせず、悪政をおしすすめる安倍政権の姿勢は、国会をないがしろにし、国民世論を無視する「隠ぺい」政治です。国会閉会中でも、予算委などを開いて、国政の重要課題を審議すべきです。

議論から逃げ続ける

 国会審議が急がれる重要課題の一つは日米の貿易交渉です。

 アメリカのトランプ政権が安倍政権に押し付けた日米貿易交渉では、わずか1年足らずで、日本がアメリカから輸入する牛・豚肉の関税大幅引き下げ、トウモロコシの大量輸入などで大枠合意しました。この後詳しい内容を詰め、9月の国連総会の際の日米首脳会談で、最終合意する段取りです。日本の農・畜産業の死活にかかわる合意を、国会や国民への説明も抜きに取り結ぶのは許されません。

 経済情勢がいよいよ悪化する中で、安倍政権が10月からの強行を狙う消費税率の10%への引き上げも、国民の暮らしと中小企業の営業に関わる大問題です。安倍政権は巨費を投じた新聞広告などで、増税への準備を進めています。しかし、国民の大半は依然として増税に反対です。安倍政権は国民の声に応えた議論をすべきです。

 安倍政権が、「徴用工」問題を貿易問題に絡めたため、悪化する一方の日韓関係の打開のための議論も必要です。トランプ米政権が日本などに求めている中東・ホルムズ海峡での船舶保護を名目にした「有志連合」への参加も、日本の自衛隊の海外派兵にかかわる大きな問題です。

 安倍政権が、国会での議論を逃げ続け、国会や国民に事実を隠して、悪政に突き進むのは、先の通常国会でもあらわになった政治姿勢です。国会で国政全般を議論できる衆参の予算委員会は、3月末に2019年度予算が成立してから、衆院で約6カ月、参院で約5カ月も開かれていません。参院選での論戦でも党首討論は、選挙の前半でほぼ終わりました。国民に語ることができない、安倍政治の行き詰まりの表れでもあります。

 安倍首相は自らや妻の昭恵氏が関与した疑いがある「森友学園」問題や、首相の長年の友人が理事長を務める「加計学園」問題で、昭恵氏らの証人喚問を逃げ続け、国会での徹底審議・疑惑解明を妨げてきました。「議論しない」ままでの「隠ぺい」政治が、安倍政治の根深い特徴です。

閉会中でも審議はできる

 安倍首相は参院選中盛んに、「憲法を議論する党か、議論しない党かを選ぶ選挙だ」といいました。国民が求めているのは、国政の重要課題の議論であり、改憲の議論ではありません。国政の重要課題の議論を逃げ回り、改憲の議論だけを求めるのは、国民を二重に愚ろうするものです。

 安倍政権は、国会での差し迫った重要課題の議論に応じるべきです。国会閉会中でも直ちに衆参の予算委などを開いて、審議の場を設けることが必要です。


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