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2019年9月1日(日)

主張

「防災の日」

災害に強い国へ知恵・力を集め

 九州北部を中心に襲った猛烈な雨による被害が佐賀県などで続く中、「防災の日」を迎えました。被害をこれ以上拡大させず、被災者への必要な支援を強めることがなにより急がれます。

 豪雨、台風、地震、津波、火山噴火などにたびたび見舞われる日本ではあらゆる災害に備え、国民の命と暮らしを守るために政治の果たす役割がいよいよ重要になっています。

相次ぐ災害の教訓生かし

 昨年は、6月の大阪北部地震、7月の西日本豪雨をはじめ、9月には高潮・強風被害をもたらした台風21号の襲来や北海道胆振(いぶり)東部地震が相次ぎました。今年も大雨・台風が各地に被害をもたらし、6月には最大震度6強の新潟・山形地震もありました。災害級の猛暑も深刻です。日本が“災害多発列島”である現実は浮き彫りになるばかりです。

 「防災の日」は10万人以上が犠牲になった関東大震災(1923年9月1日)発生の日にあわせ、60年に決められました。この日の制定の大きな契機になったのは、前年の59年に日本を襲い、甚大な被害を生んだ伊勢湾台風でした。

 台風災害としては「明治以降最大」とされる死者・行方不明者5098人に及んだ伊勢湾台風の最大の特徴は高潮による被害です。9月26日夕方に紀伊半島に上陸した強い台風によって、名古屋市を中心とする伊勢湾奥部にそれまでの最高潮位を1メートル近く上回る観測史上最大の高潮が発生しました。それが、防災対策が不十分なまま市街化してきた海抜ゼロメートル地帯を襲い、貯木場から押し流された大量の木材が被害をいっそう拡大させました。浸水面積は市域にほぼ匹敵する310平方キロにのぼりました。浸水期間は2カ月以上も続いた地域もありました。

 台風や強い低気圧が接近・上陸して、短時間のうちに急激に潮位が上昇し、海水が堤防を越えて一気に浸水する高潮の破壊力と恐ろしさをまざまざと示しました。

 伊勢湾台風から60年となる節目の今年、東海地方を中心に、被害の教訓に学ぶ防災の取り組みが行われています。悲劇を繰り返さないために、情報伝達や避難のしくみの点検と見直し、まちづくりのあり方など、知恵と力を集めていくことが求められます。

 昨年9月の台風21号では、高潮によって、大阪湾の関西空港が大規模浸水で機能まひに陥りました。兵庫県芦屋市の人工島にある住宅地などでも高潮で浸水被害を出しました。首都圏でも高潮や洪水の危険は指摘されており、地域の実情に即し、住民の命を最優先にした対策をとることが欠かせません。

 気候変動の影響で過去に経験のない様相を見せる災害も起きています。従来の枠だけにとらわれない備えも迫られています。

被災者支援の強化を

 東日本大震災をはじめ、各地の被災者に対する国・自治体からの支援を弱めることがあってはなりません。避難生活の中で命が失われる災害関連死につながらないようにきめ細かな支援体制の構築を目指すべきです。住まいの再建を支える被災者生活再建支援法の抜本的改革も必要です。

 被災者に寄り添い、被災者の生活再建と被災地の復興のために力を尽くすのが、災害大国・日本の政治の責任です。


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