2019年8月27日(火)
植民地支配への真摯な反省を土台にしてこそ解決の道は開かれる――日韓関係の深刻な悪化について
志位委員長が表明
日本共産党の志位和夫委員長は26日の記者会見で、記者団から「軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の韓国による破棄など日韓関係についてどう見ているか」との質問を受け、次のように表明しました。
一、日韓関係の深刻な悪化を深く憂慮している。
一、今日の日韓関係の深刻な悪化を招いた直接の原因は、安倍政権が、「徴用工」問題で被害者の名誉と尊厳を回復する責任を放棄したうえ、わが党の強い警告を無視して、この問題での政治的対立の「解決」の手段として対韓貿易規制の拡大――韓国の「ホワイト国」からの除外という、政経分離の原則に反する「禁じ手」を使ったことにある。
しかも、安倍政権は、「ホワイト国」からの除外の理由を「安全保障のための輸出管理の見直し」と説明するという欺瞞(ぎまん)的態度をとった。
この過程で、河野外務大臣が、駐日韓国大使を呼びつけ、メディアの前で居丈高に「無礼」と面罵したことをはじめ、およそ外交的礼儀を欠く態度が繰り返されたことも、恥ずべきことである。
一、さらに日韓関係の深刻な悪化の根本的要因としては、安倍首相が、韓国の植民地化を進めた日露戦争を美化した2015年の「安倍談話」に象徴されるように、1995年の「村山談話」、1998年の小渕首相と金大中(キム・デジュン)大統領の「日韓パートナーシップ宣言」で明記された「植民地支配への反省」の立場を投げ捨てる態度をとり続けていることを、あげなければならない。
日本軍「慰安婦」問題にせよ、「徴用工」問題にせよ、過去の植民地支配への真摯(しんし)な反省の立場を土台にしてこそ解決の道が開かれることを強調しなくてはならない。
一、歴史を偽造し、他国を侮辱し、排外主義をあおることによって、自らの延命をはかることは、政権をあずかるものの態度として決して許されるものではない。それは北東アジアでの平和構築にとってもきわめて有害である。こうした態度を根本からあらためることを強く求める。
一、(GSOMIA〔軍事情報包括保護協定〕の破棄そのものをどう見ているか)わが党は、もともとまず日米間で、続いて日韓間で締結されたGSOMIAそのものに反対してきた。
2007年に米国の強い要求で締結した日米GSOMIAは、日米が軍事情報でも一体化を加速させ共同で戦争をする仕掛けづくりであるとともに、「軍事情報保護」の名で国民の知る権利を侵害し、13年の秘密保護法の強行へとつながっていった。
2016年に締結された日韓GSOMIAは、米国主導の「ミサイル防衛」体制に日韓両国を組み込み、中国や北朝鮮を念頭に軍事的圧力を強めようというものであり、これにも私たちは反対を表明してきた。
軍事的挑発に対して、軍事的圧力の強化で構えるというやり方では、軍事対軍事の悪循環になる。そういうやり方ではなく、いかに対話による解決の局面へと転換するのかが重要だと主張してきた。GSOMIAが解消されることで、北東アジア地域の平和と安定が危険にさらされるとは考えていない。