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2019年8月15日(木)

主張

74回目の終戦の日

強権・偽りの政治を許さぬ決意

 アジアと日本の国民に甚大な犠牲をもたらしたアジア・太平洋戦争で日本が敗れた1945年8月15日の終戦から74年になります。

 先の参院選で国民は「改憲勢力3分の2割れ」の審判を下しました。それにもかかわらず、安倍晋三首相は改憲を議論する「審判は下った」と居直り、憲法9条に自衛隊を書き込む改憲への動きを加速させようとしています。世論を無視した強権政治、国民を欺く政治を許せば、民主主義は壊され、戦争とファシズムへの道につながることは、歴史が明らかにしています。暴走政治を終わらせるたたかいが重要になっています。

「東条独裁」が示すもの

 41年12月にアメリカのハワイ・真珠湾や当時イギリス領だったマレー半島のコタバルを奇襲し、アメリカやイギリスを相手にした戦争を始めた東条英機内閣は、絶対主義的な天皇制の下、首相が陸相や内相、参謀総長を兼任して強力な権力をふるう「東条独裁」と呼ばれる体制でした。改悪した治安維持法や国防保安法を使い、戦争や政府を批判する言論・政治活動を厳しく弾圧しました。陸相の地位を使い、憲兵を私兵にして、政敵を抑え込むことまでしました。「東条独裁」は戦争と国民抑圧の専制政治が一体不可分であることを示す一つの象徴です。

 15年にわたる侵略戦争の発端となった31年9月の「満州事変」は日本軍のでっち上げで始まりました。当時「満州」と呼ばれた中国東北部で日本軍が仕かけた鉄道爆破を中国側によると偽り、国内外を欺いて戦争につき進んだのです。その後の日中全面戦争への拡大(37年)や、41年の米英などとの開戦も、「自存自衛」などと主張し、盛んに繰り返した「大東亜新秩序」という言葉も、侵略と領土拡大の目的をごまかすためでした。日本の戦果を過大に宣伝した「大本営発表」は、ウソで固めた戦争の異常な姿を浮き彫りにしています。

 アジア・太平洋戦争の結果、310万人以上の日本国民と、2000万人を超すアジア諸国民が犠牲になりました。原爆投下や空襲で日本各地は焦土と化し、日本の侵略と植民地支配はアジア諸国などに大きな被害を与え、その深い傷あとは、いまも消えていません。日本軍「慰安婦」問題や、中国大陸からの「強制連行」、朝鮮半島からの「徴用工」問題は、日本の責任が問われ続けている大きな課題です。

 いま日韓間の焦点になっている「徴用工」問題は、被害者の名誉と尊厳が回復できるよう、日本と韓国の政府間で話し合って解決すべきなのに、貿易問題をからめて一方的な措置をとる安倍政権の姿勢は重大です。過去の歴史と真剣に向き合わなければ、国際社会での信頼・友好は築けません。

9条改憲を阻もう

 安倍首相は、改悪した憲法を2020年に施行したい思いはいまも変わらないと公言しています。戦後75年の節目に、そんな野望を許してはなりません。まさに日本は歴史的な岐路に立っています。

 侵略戦争への痛苦の反省のうえに制定された日本国憲法は、その前文で、「政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起ることのないやうにすることを決意し」とうたっています。この言葉を心に刻むときです。安倍政権が目指す「戦争する国」への道を必ず阻みましょう。


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