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2019年8月12日(月)

土砂投入3%のみ

辺野古 政府強行も進まず

 沖縄県名護市辺野古の米軍新基地建設で、埋め立て工事の土砂投入の進捗(しんちょく)率が今年5月末時点で約2・8%、7月末時点でも約3・1%にとどまっていることが沖縄県の試算から分かりました。安倍政権は民意を無視して土砂投入を強行していますが、埋め立て区域の大部分を占める大浦湾側に広がる軟弱地盤の存在や、土砂搬入を阻止する県民の粘り強いたたかいにより、工事は大幅に遅れています。追い詰められているのは政府の方です。


 埋め立て土砂の投入は、2018年12月14日から埋め立て区域南側(辺野古側)の「(2)―1工区」(約6・3ヘクタール)で、19年3月25日から「(2)工区」(約33ヘクタール)で始まりました。

 県は、土砂投入の進展状況を把握するため土砂投入状況を沖縄防衛局に照会。今年5月末時点で、「(2)―1工区」が必要土量に対して6割超、「(2)工区」が必要土量の1割以下になっているとの回答がありました。

 両工区に必要な土量は319万立方メートルです。県によると、埋め立て区域の面積から推計された投入土量は、両工区合計58万立方メートルで、必要土量の約18%。埋め立て工事全体に必要な総土量2062万立方メートルのうち、わずか約2・8%です。

 岩屋毅防衛相は8日の記者会見で、7月末時点での土砂投入の進捗について「(2)―1工区」で約7割、「(2)工区」で1割以下だと述べました。これを沖縄県の試算にあてはめても、総土量のうち約3・1%にすぎません。

 沖縄防衛局は、「K9護岸」からの土砂陸揚げに加え、6月から新たに「K8護岸」からも陸揚げを始めましたが、工事が加速しているとはいえない状況です。

 沖縄防衛局が申請書で示した概略工程表によると、両工区での埋め立ては6カ月程度で終わることになっていました。しかし、現状のペースで進むと、「(2)」「(2)―1」工区への埋め立て土砂の投入だけで2年近くかかることになります。

 仮に辺野古側の埋め立てが完了しても、大浦湾側にある軟弱地盤は国内の施工能力70メートルを超え、最深90メートルまで達しており、工事自体が不可能。加えて、地盤改良のためには沖縄県の玉城デニー知事から承認を得る必要があります。政府は今年2月に設計変更申請を行う考えを示しましたが、いまだに提出されておらず、工期も見通せていません。

 これに伴い、護岸の全体の実施設計もいまだに示されていません。県は、工事は「かなり遅れている」との認識を示しています。


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