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2019年8月10日(土)

主張

世界大会の閉幕

2020年へ世界的な運動を

 広島と長崎で開かれていた原水爆禁止2019年世界大会が9日閉幕しました。大会には21カ国85人の海外代表と全国から6000人をこえる代表が参加し、20年の被爆75年にむけた世界的運動をよびかけました。

困難な時代の希望

 トランプ米政権が「使える核兵器」の開発に乗り出すとともに、中距離核戦力(INF)全廃条約が失効(2日)するなど、米ロの核軍拡競争への懸念が高まっています。メディアなどでは「核軍縮の機運が遠ざかった」とする悲観的な論調もみられます。それだけに今年の世界大会が、こうした核軍縮への逆行を厳しく批判するとともに、核兵器廃絶の展望と運動の方向を示したことは大きな意義があります。

 5日採択された国際会議宣言は、「核兵器のない世界」を求める声が、世界の「圧倒的多数」であり、「重要な局面で前進をひらいてきたのは、世界の世論と運動である」と強調しました。長崎大会に参加したメキシコのメルバ・プリーア駐日大使は「この難しい時期に、みなさんの存在こそが希望です」とあいさつし、大きな拍手をうけました。オーストリアのガルホーファー公使も国際会議で、「私たちはみなさんを、市民社会を、運動を、被爆者の方々を必要としているのです」と発言しました。

 核兵器禁止条約を実現させた力の一つが市民社会と諸国政府の共同でした。情勢を前向きにすすめるために、この共同をさらに発展させようという決意と確信に満ちた大会となりました。

 来年は5年に1度の核不拡散条約(NPT)再検討会議がひらかれます。同時に、「ヒバクシャ国際署名」の取り組みがゴールとする年でもあります。大会は被爆75年を、「核兵器のない世界」への転機とするために、「ヒバクシャ国際署名」を軸に、「核固執勢力を突き動かす世論を世界と各国でつくろう」(国際会議宣言)と訴えました。

 とりわけ、アメリカの平和運動が提起した原水爆禁止世界大会をニューヨークでも開くという構想が、大きく歓迎されました。討論では「涙がでるほど感動した」といった声があがりました。

 今の状況のもとで、NPT再検討会議が成果を得られるかどうかは、予断を許しません。しかし、核保有五大国が、NPT第6条に明記された核軍備縮小撤廃を交渉する義務に背を向け続けるならば、保有国にたいする批判は高まらざるを得ません。世界大会がよびかけた運動を、日本でも世界でも大きく広げ、情勢をきりひらいていくことが重要になっています。

被爆者の悲願に応え

 広島、長崎の両市長は平和宣言で、日本政府に核兵器禁止条約への積極的対応や参加を求めました。しかし、今年も安倍晋三首相は、禁止条約には全く触れません。

 世界大会は「市民と野党の共同をさらに強化して、被爆国にふさわしい役割をはたすよう政府に強くせまっていこう」(「長崎からのよびかけ」)と訴えました。被爆国で、禁止条約に署名する政府をつくるなら、核兵器廃絶にむけて世界を大きく動かすでしょう。「『生きているうちに核兵器廃絶を』という被爆者の願いにこたえるためにも、我々は急がねばならない」(国際会議宣言)。この決意にたった、運動の飛躍が期待されます。


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