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2019年7月27日(土)

公務員にマイナンバーカード

総務省が強制ねらう

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(写真)マイナンバーカードの見本(総務省HPから)

 総務省が「マイナンバーカード」の普及を促進するため、公務員にカード取得を半ば強制するような動きに出ています。政府の方針を受けて自治体当局と共済組合が一体になって、公務員と家族らに取得を「勧奨」するもので、自治労連の中川悟書記長は「任意とされるカード取得を事実上強制するもので許されない」と批判しています。(深山直人)

自治労連「撤回せよ」

 マイナンバーカードを健康保険証として使えるようにする健康保険法等改定案が5月に成立(2021年3月施行予定)。政府のデジタル・ガバメント閣僚会議は、国家公務員共済組合と地方公務員共済組合について、いっせい取得を推進する方針を決め、地方公務員に関し6月5日と28日付で関連する通知を出しました。

取得状況を調査

 対象は共済組合に加入している自治体職員とその家族、一部事務組合や独立行政法人の職員。未加入の非常勤職員や採用予定者にも広げるとしています。

 まず、職員や被扶養者を対象にパソコン、スマートフォンを利用してオンライン申請でカードを取得するよう「勧奨」します。

 そして共済組合の各個人情報を使って、それぞれの氏名・住所などが印字された交付申請書を作成し、8月~9月ごろから、所属部署を通じていっせいに配布。被扶養者分と併せて所属部署に提出するよう求めるとしています。

 さらに自治体に対して、一人ひとりの職員の申請・取得状況について調査し、報告するよう求めています。

 マイナンバーは、日本に住むすべての国民・外国人に12ケタの番号を付けて、行政が保有するさまざまな個人情報をひもづけて把握する仕組み。国民に社会保障などの負担増と給付削減を押し付けるのがねらいです。個人情報の漏えいやプライバシーを侵害する危険を抱えています。

 マイナンバーカードは、マイナンバーに顔写真と情報を記録するICチップを併せたカード。政府は、民間も含めた各種サービスへの活用を計画しています。住民票をコンビニで受け取れるなど行政サービスの縮小・再編もねらっています。

目的外利用にも

 しかし、住民票を何度も役所以外で取りたい人など少なく、カードの取得者は、約13%(約1656万人、2019年4月)にとどまっています。

 各自治体の共済組合が入る全国市町村職員共済組合連合会だけで約118万人。家族なども含めてカード取得となれば、普及促進のテコになります。

 中川書記長は「カード取得は法的義務でもなく、個人の選択に任されるべきものです。それを、共済組合を通じて取得を勧奨し、所属部署が取得状況を調査すれば、職員はもちろん、非正規職員や新規採用者は拒否しにくく、事実上の強制となる」と指摘します。

 「共済組合が持つ個人情報を本人同意もなく勝手に使うことは目的外使用にも当たる。個人情報漏えいの危険など重大な問題をもつマイナンバーカードを公務員から始めて国民全体に広げようとするもので許されません」と話しています。

「任意」と認める

 自治労連は、総務省と市町村共済組合連合会に対して「取得推進」の撤回を求めるとともに、取得を強制しないよう要請しました。

 総務省は「任意であることに変わりはない」「申請しなくても不利益はない」と回答。全国市町村職員共済組合連合会も「取得を強制するものではない」「(各市町村共済に対し)指揮命令権はなく指示する立場ではない」と答えました。

 自治労連の地方組織・単組も、各自治体と各共済組合に対して取得を強制しないよう要請しています。


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